最新記事

極小カメラ

体内に注射できるほど小さなカメラを3Dプリンターで作成

2016年7月4日(月)16時00分
山路達也

<3Dプリンターを使って出力された、わずか100マイクロの塩つぶ大の極小カメラが、独シュトゥットガルト大学などの研究チームによって発表された>

 人体の内部を覗くためのカメラは、驚くべき進化を遂げている。鉗子を備えて手術も行える内視鏡はすでに実用化されているし、口から飲み込んで消化管内部を撮影するカプセル型内視鏡も普及が進みつつある。

 それでもなお、[2016年6月に独シュトゥットガルト大学などの研究チームが発表]したカメラは驚異的である。

 このカメラは幅100マイクロメートルと、塩の粒大。3枚のレンズで構成されており、光ファイバー(こちらも髪の毛2本分ほどの細さだ)に3Dプリンターからレンズを直接出力して取り付けたデバイスも開発されている。

yamaji2.jpg

 光ファイバーだけでなく、デジカメなどに使われているイメージセンサー上にレンズを出力することも可能だという。

 レンズは"direct laser writing"という3Dプリンティング方式で作られており、設計から製造、試験まで数時間しかかからない。カメラは対象物より3.0ミリメートルの距離からフォーカスを合わせることができ、1.7メートルの光ファイバーを通じて撮影画像を転送することに成功している。

 カメラのサイズが極めて小さいため、将来的には注射針に取り付けて、臓器や脳の内部を撮影するといった応用が考えられる。マイクロロボットの「眼」として、産業分野でも広く使われるようになりそうだ。


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中