最新記事

性病

日本発・薬剤耐性をもつ淋病の怖さ

日本の風俗店で見つかった淋病の新たな耐性菌。治療法もなく、世界にも大きな脅威になりそうだ

2011年7月12日(火)17時16分

予防が重要 すぐに症状が出ないことも多いので、コンドーム着用で感染防御を Tim Wimborne-Reuters

 日本の風俗店で働く人から、治療薬のない新種の淋病が見つかった。国際性感染症研究会議(カナダ・ケベック市で7月13日まで開催中)で行われた報告によれば、この淋菌の変異株に対してはペニシリンやその他の抗生物質も効果がないという。

 報告を行ったスウェーデン基準研究所のマグナス・ウネモは、カナダのナショナルポスト紙に対して「もし感染が拡大しても適切な治療法がない」と語っている。

 同研究所の専門家らは、H041と呼ばれる淋菌の「スーパー変異株」はセファロスポリン系抗生物質に耐性を持っていると警告。ウネモはこれを「次世代の治療不可能な淋病」と呼び、公衆衛生上の大きな脅威になるとした。

きちんと治療しないと死に至ることも

 多くの場合、新種の淋菌は日本や韓国で発見され、後に世界中に広まっていくとナショナルポスト紙は報じている。米疾病対策センター(CDC)によれば、アメリカでは毎年約70万件の淋病感染が報告されている。7月8日にはCDCから医師に対し、セファロスポリン系抗生物質に耐性を持つ淋病の感染拡大を警戒するよう通知が出されたばかりだった。

 淋病は世界でもごく一般的な性感染症の1つ。症状は排尿時の灼熱感などのほか性器から膿が出ることもあるが、女性感染者の約半分、男性の2〜5%は何の症状も出ない。

 しかしきちんと治療しなければ、男女共に命に関わるほど深刻な健康被害を引き起こしかねない。感染が皮膚や血液、他の臓器にも広がって痛みや不妊をもたらしたり、最悪の場合は死に至る可能性もある。

GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

一部の関税合意は数週間以内、中国とは協議していない

ビジネス

米キャタピラー第1四半期、収益が予想下回る 関税影

ビジネス

セブン&アイ、クシュタールと秘密保持契約を締結 資

ワールド

米・ウクライナ、鉱物資源協定に署名 復興投資基金設
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中