最新記事

ドラッグ

マイケルを死に追いやった麻酔薬プロポフォールの脅威

睡眠導入剤としてM・ジャクソンに投与された薬はとんでもなく強力で危険な麻薬だった

2011年11月17日(木)14時28分
シャロン・ベグリー(サイエンス担当)

乱用も多い マーレー医師の公判で検察側がマイケルの死因の説明に使ったスライド Reuters

 マイケル・ジャクソンの急死から2カ月後の09年8月、ロサンゼルス郡検死局は死因を「急性プロポフォール中毒」と断定した。だがこのとき、マイケルの専属医コンラッド・マレーがなぜあんな強力な麻酔薬を投与したのかと、疑念を抱いたのはファンだけではあるまい。

 過失致死罪で現在公判中のマレーは、マイケルの睡眠を助けるために投与したと主張しているが、プロポフォールは睡眠導入剤ではない。「適切な使用範囲から懸け離れた用法だ」と、麻酔専門医のビバリー・フィリップは言う。

 さらに最近、専門家らはこの薬が娯楽目的の麻薬として乱用される可能性に注目し始めた。「ヘロインのような麻薬ではないし、恍惚感もない」と、麻薬専門医のイーサン・ブライソンは言う。「だが意識がなくなったりボーっとなったりする。また性的虐待とプロポフォールによる逃避行為には関係がある」

 少年に対する性的虐待容疑で告発されたマイケルは、父親に肉体的・精神的に虐待されたと訴えた。「マイケルのプロポフォール使用と性的虐待を関連づけるとしたら、子供時代に受けた虐待のほうであって、大人になってから他人に加えた虐待ではない」と、ブライソンは言う。

 麻酔薬としてのプロポフォールは脳の受容体に働き掛け、無意識状態をつくり出す。同時にドーパミンの分泌を促し、セックスやコカインと似た快楽を得ることができる。陶酔状態に陥ったり性欲を抑えられなくなったり、幻覚を見る人もいる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナの子ども帰還へロシアと連絡継続=メラニア

ワールド

米雇用機会均等委、ナイキを白人従業員差別の疑いで調

ワールド

トランプ氏、ワーナー巡る争いに「関与しない」 介入

ビジネス

ルネサス、1─3月期営業利益率改善を予想 25年1
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 3
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流していた? 首相の辞任にも関与していた可能性も
  • 4
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 7
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 8
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 9
    電気代が下がらない本当の理由――「窓と給湯器」で家…
  • 10
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中