この作品に出演したことで、ギアはプライドの高さが目立つマンネリ気味の演技から脱却できたようだ。コメディがサスペンスに一変し、風刺と不名誉が混在して目まぐるしくトーンが変わる物語を自信をもって撮った経験によって、監督のハルストレム(『サイダー・ハウス・ルール』)もさらに勢いに乗っているようだ。
アービングがやってみせたのは、見事なまでにひねくれた即興芝居であり、この映画がこれほど面白いのは、ペテン師の彼がその場で話をでっち上げる様子を目撃できるからだ。
アービングが自ら掘った墓穴からどう抜け出すのか、観客は何度もヒヤヒヤさせられる。今度こそ降参して真実を告白するしかないだろうと思った瞬間、彼はさらなる嘘をでっち上げて、茶番劇を長引かせる。
新鮮で驚きに満ちた『ザ・ホークス』は、ヒーローと悪人、現実と虚構、真実と嘘についての常識を激しく揺さぶる。これほど面白くて、これほどずる賢い映画には、めったにお目にかかれない。
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