オリバー・ストーン監督は、映画になりそうなニュースを見逃さない。9・11テロを描いた『ワールド・トレード・センター』(06年)や、ジョージ・W・ブッシュ前米大統領の伝記映画『ブッシュ』(08年)はアメリカ政治史に残るであろう最近の出来事を題材にしている。
そんなストーンが08年の金融危機を映画にしないことは、悪徳な投資家が企業の内部情報を見過ごすのに等しい。またとないチャンスとばかりに、彼は87年のヒット作『ウォール街』の強欲な主人公ゴードン・ゲッコーをよみがえらせた。
ご存じのように、ストーンは陰影に富んだ物語の作り手ではない。観客が彼の作品に求めるのは、不快なほどアクの強い教訓や過激な陰謀にあふれ、カタルシスを味わえる娯楽大作だ。
『ウォール街』の23年ぶりの続編である『ウォール・ストリート』は欠点も多い。要素を詰め込み過ぎでストーリー展開がぎこちなく、魅力的な悪人を主人公として描く手法も定まっていない。それでもなお、たっぷり楽しめてカタルシスに浸れる作品に仕上がっている。...本文続く
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