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『ラブリーボーン』とオスカーと家族と

14 Old Girl's Personal Inbetween

主人公スージーを瑞々しい魅力全開で演じたシアーシャ・ローナンに聞く

2010年2月10日(水)12時25分
大橋希

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 07年の『つぐない』でキーラ・ナイトレイの妹を演じ、アカデミー賞助演女優賞候補となった少女を覚えているだろうか? 

 ちょっぴり大人になったシアーシャ・ローナン(15)はピーター・ジャクソン監督の『ラブリーボーン』(日本公開中)で、殺害され天国に向かう少女スージーを、「この時期だからこそ」の魅力全開で演じている。透き通るような肌に長い手足、軽快な受け答えが印象的なローナンに話を聞いた。

――ジャクソンはこれまで仕事をした監督とは違ったとか?

 そう、すごく情報をくれるの。しっかりとした構想があって、各シーンで何が必要か全部説明してくれる。でも、演技についてはまかせてくれるから安心して臨める。現場の雰囲気作りもすごくうまい。

 あと、ピーターとの仕事の場合、場所が特殊ってこともあるかな。ニュージーランドにある彼のスタジオでほとんど撮影したから。とにかく、彼と仕事した9カ月は本当に素晴らしかった。

――彼は裸足だった?

 たいていね。ホビットみたいに(笑)。それで、いつも紅茶を持ってる。

――悲しい役柄に入り込みすぎて、気分が落ち込んだりはしなかった?

 ノー、全然よ。こういうことが若い女の子に起きたら......と辛い気持ちにはなったけど。

 それに演じていると、スージーが実在の人間で親友みたいに思えてくる。その彼女がこんな経験をしたって考えたら胸が痛くなった。でも落ち込むまではいかない。結局は仕事だからね。

――監督は無名の女優をスージー役に充てたかったとか。でもあなたはこの映画の撮影中にアカデミー賞候補になってしまった。

 もちろん『つぐない』から私を知っている人はいるだろうけど、自分ではほとんど無名だと思う。

 ニュージーランドで報せを聞いたんだけど、ピーターたちも喜んでくれた。彼らは何度も......そう、20回とか? ノミネートされているから、「すごく非現実的な経験で、こんなことが起こるよ」とか「普通の賞や授賞式とは雰囲気が違う」とかいろいろ教えてくれた。

――天国の描写が「軽過ぎる」という批判もあったようだが。

 私は大好き。予想もしなかったような色使いや編集方法が素晴らしい。夢や想像力やポップカルチャーといった14歳の少女の世界が入っていて、うまいなと思った。

 頭の中で想像したことをビジュアル化するのは大変なことだし、それをみんなに見られるんだからちょっとリスクはあるでしょうけどね。

――スージーみたいに父親と仲がいい?

 父とも母とも、それぞれ違った結びつきがある。私は一人っ子で両親と一緒に過ごす時間が長いから、とても仲がいいの。幸せなことだと思う。

――今はアイルランドに住んでいる。親元を離れる予定は......。

 全然ない。まだ15歳だもの! 大学には行きたいと思うから、そのころに自立するのが健全でしょうね。

――アメリカの大学に行って、ハリウッドで仕事を続けるのはどう?

 今はとても忙しくてどうなるか考えもつかないけど、できれば学業と仕事を両立させたい。それが理想。

――次は『ハンナ』で殺人者を演じるけど、どんな気分?

 すごく変な感じがする(笑)。殺人の被害者から、今度は殺人者だもの。でもわくわくするような脚本で、読んだ人はみんな「最高にクール!」って言ってる。ジョー(・ライト監督)とまた仕事ができるし、『つぐない』とはまったく違う現代物のアクション映画だから、すごく楽しみ。

[2010年2月10日号掲載]

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