最新記事
ドラマ

本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこない」重要な存在

Less Disturbing Squid Game

2025年1月18日(土)12時15分
スコット・ノバー(ジャーナリスト)

『イカゲーム』で仮面を着けて死闘を観戦するVIPの姿を見ながら、視聴者はばかばかしさを笑うためにリアリティー番組をむさぼる自らの残酷さと向き合うよう迫られる。リアリティー番組の出演者も、実際に生きている人間だ。彼らは視聴者の娯楽のためにもてあそばれる。

確かに、現実の視聴者の「のぞき見趣味」はそこまで倒錯していないし、出演者は参加するゲームの内容をある程度まで承知している。だが基本的にリアリティー番組の視聴とは、不自然な在り方に追いやられて、侮辱や残忍な扱いに耐える人々の姿を眺める行為だ。


それでも、倫理的に微妙な部分も含めて、リアリティー番組は面白い。誰だって人間だ。人間ならではの欠点のオンパレードに夢中になるのが悪いことか。D級インフルエンサーやエルメスで身を固めた主婦たちの喜劇や悲劇を欲しがってはいけないのか。

リアリティー番組を見るのは、彼らの失墜を楽しむためなのか(屈辱を受けるだけで、死ぬわけではないのだし)。

それとも、人間性の奇妙な側面を自分ごととして受け止め、同様の極端な状況で自分ならどうするかを考えるため、愛や成功を求める出演者を、純粋な気持ちで応援するためなのか──。

いずれもイエス、というのが本当の答えだろう。ならば、その不快な一面から目を背けてはならない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中