最新記事

アメリカが愛する大谷翔平

【大谷翔平MVP】アメリカに愛され尊敬される二刀流 ショーヘイはいかに「唯一無二」か

IT’S SHO-TIME FOR THE MLB

2021年11月19日(金)11時30分
スコット・ミラー(MLB専門スポーツジャーナリスト)

211012P18_OTN_03.jpg

8月31日のヤンキース戦で決めたホームスチール JAYNE KAMINーONCEA/GETTY IMAGES

MVPレースで大谷の最大のライバルとなるのは、トロント・ブルージェイズの強打者ブラディミール・ゲレロJr.。大谷とシーズン最終盤まで本塁打王争いを繰り広げたゲレロは、12年のミゲル・カブレラ(デトロイト・タイガース)以来となる三冠王に近づく成績を上げた。

ゲレロはブルージェイズのプレーオフ進出争いに貢献した。だがいかに素晴らしい成績を残しても、大谷のように何役もこなしたわけではない。「本塁打王のタイトルだけでMVP争いが決まってほしくない」と、エンゼルスのジョー・マドン監督は言った。

日本にいたときと同じく、大谷はアメリカでも謙虚なことで知られている。それが大変な人気を獲得している理由の1つでもある。

だからといって、大谷を甘く見ると痛い目に遭う。謙虚な半面、大谷は競争心の塊でもある。その一端は、9月12日の試合後の記者会見で、本塁打王のタイトルについて語った言葉からもうかがえた。

「(本塁打王を)もちろん取りたいという気持ちはありますが、取りたいなというだけで取れるものではない」と、大谷は語った。「いい打席を毎日続けていけたらと思う。基本に忠実になり、1打席ずつ大事にしながら打ちたい」

自身の言う「いい打席」、そして質の高いプレーこそ、大谷が今シーズン見せてきたものだ。彼は45本塁打以上、25盗塁以上を同一シーズンに達成するという、MLB史上ではバリー・ボンズ(1993年)、ホセ・カンセコ(98年)、アルフォンソ・ソリアーノ(2006年)らに続く6人目の選手となった。

「みんな大谷の次の打席を見たいから、チャンネルを替えられない。彼が投げる試合が分かれば、『その夜は絶対に見よう』と思う。その上、盗塁まで決めてしまうかもしれないんだ」と、マドンは言う。

「『こんなもの見たことがない!』というくらいに、彼は人々の関心を奪っている。見たことがないものを前にしたら、それにひたすら引かれて、さらに見たいと思うだろう。私は大谷の活躍が、もっと多くの人々を野球のとりこにすることを願っている。アメリカだけでなく、世界中でそうなってほしい」

大谷は今シーズン、本拠地エンゼル・スタジアムで13試合に先発登板し、6勝0敗、防御率1.95という成績を残している。球団史上、1シーズンに本拠地で開幕から13試合に先発して敗戦がなく、防御率で2点を切った投手は初めてだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 8
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中