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独自技術で、ファッション界に挑戦する京セラ──新製品はいかに市場に革命をもたらすのか?

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2023年8月21日(月)10時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

イタリア人アーティスト兼インフルエンサーでもあるGiotto Calendoli氏も、生地を触りながら、「とても柔らかく、発色も素晴らしい。印刷技術の革新に驚きました。(FOREARTHで印刷した)生地に触れていると、創作のアイデアが色々と湧いてきます」と、高揚感をもって語った。

Giotto Calendoli氏

「FOREARTH」で印刷した生地の手触りを試すイタリア人アーティストGiotto Calendoli氏。

ファッション業界の課題全般にアプローチ

「FOREARTH」が同展示会で来場者の好感触を得た背景には、水の使用量を極限まで減らすことが出来る特長に加え、その印刷のクオリティの高さにある。

水の使用を抑えるには、通常の「染料捺染」から、「顔料捺染」に切り替えることである程度は可能になる。しかし、顔料インクを用いた印刷では、ゴワゴワとした肌触り、発色、堅牢性(けんろうせい ※1)が低いこと等が、ファッション業界において大きな課題となっていた。「FOREARTH」では、それらの顔料印刷のデメリットを克服し、女性用の衣類にも十分使用できるクオリティで印刷できる。

※1 色落ちのしにくさ


まず節水に関しては、「FOREARTH」は印刷時に大量の水を使用するスチームや洗浄などの工程を省き、印刷・乾燥の2つの工程のみで染色作業の完了を実現させた。乾燥すると色が定着する独自の顔料インクと前後処理液を同時に印刷する為、洗浄が不要となる仕組みだ。

通常の染料技術と、「FOREARTH」の工程の比較

通常の染料技術と、「FOREARTH」の工程の比較。© 2023 KYOCERA corporation
※1 Kujanpää , M. & Nors , M. (2014). Environmental performance of future digital textile printing. VTT Technical Research Centre of Finland.VTT Customer Report Vol. VTT CR 04462 14
※2 京セラ調べ 2022年


節水と品質の両立を達成した背景について、同社の経営推進本部IDP事業開発部長の向井健一氏はこう付け加える。「ヘッド(柄・色を出力する部分)、独自の顔料インク、それらを取り巻く周辺システムの3つの要素をすり合わせて、課題を克服しました。すり合わせ技術とは、細かい、様々な技術を絡め合わせて作る、日本独特の作業方法。京セラがヘッド、インク、周辺システムをすべて自前で作る技術を有していたことも、実現に至った大きな理由の一つです」と説明する。

経営推進本部IDP事業開発部長の向井健一氏

経営推進本部IDP事業開発部長の向井健一氏。「FOREARTH」の開発を率いた。


また、「FOREARTH」は水問題だけでなく、ファッション業界のサプライチェーンの改善、しいては大量生産・廃棄の削減にも繋がると同氏は言う。

「従来、染色は大量に水を使う為、水資源に近いところで行われていました。例えば中国で染色を行い、縫製はバングラディシュ、消費地はヨーロッパという具合に、サプライチェーンが分散していたのです。FOREARTHは水をほぼ使用しない為、置く場所を選びません。その為、消費地付近で染色を行えば輸送時のCO2排出を削減できる。また、全体のサプライチェーンの時間短縮も可能となるため、急な発注にもスピーディーな対応ができ、大量生産・廃棄問題の解決にもつながります」

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