最新記事

投資

ドラキュラの古城が買い手を募集中

ドラキュラ伝説の舞台とされるルーマニアの城を購入する条件は

2014年5月15日(木)17時19分
ジェス・ジマーマン

波乱の歴史 ブラン城にはドラキュラのモデルとなった人物が幽閉されていたとか Bogdan Cristel-Reuters

 ルーマニアのトランシルバニア地方の山上にそびえたつブラン城は、別名「ドラキュラ城」。もちろん、吸血鬼のドラキュラ伯爵はアイルランド人作家ブラム・ストーカーが19世紀末に発表した恐怖小説に登場する架空の存在だから、この城に本当にドラキュラが住んでいたわけではない。
 
 それでも、中世に建てられたゴシック調の重厚な要塞には、ドラキュラ伝説を彷彿とさせる不気味さが漂っている。しかも、15世紀に実在し、ドラキュラ伯爵のモデルになったといわれる残忍なブラド3世が、この城に幽閉されていたという説もある。

 そんないわくつきの古城が今、新たな所有者を探している。とてつもなく強力なコネと莫大な財産があれば、あなたも世界的に有名なブラン城のオーナーになれるかもしれない。

 「売り出し中」といっても、吸血鬼とその犠牲者たちの魂がさまよっている城だけに、誰にでも売れるというわけにはいかない。城の現在のオーナーは、オーストリア=ハンガリー帝国とルーマニア王室の血を引くドミニク・ハプスブルク大公と2人の妹。彼らから売却を委託されているニューヨークの弁護士マーク・メイヤーは、「妥当な価格での申し入れがあれば、しかるべき人物かどうかを調べたうえで真剣に検討する」と語っている。

 城の所有権争いでライバルとなるのはルーマニア政府かもしれない。ハプスブルク大公らはルーマニア政府に対し、8000万ドルでの売却を提案しているといわれており、購入希望者はそれ以上の金額を提示する必要がありそうだ。

 購入後は莫大な維持管理費用も負担しなければならない。ブラン城には現在、年間56万人の観光客が訪れており、その入場料をあてにせざるを得ないだろう。

 さらに、水道施設の不備にも目をつぶる必要がある。観光客向けのトイレはあるものの、居住部分の水道設備は、ブラン城がチャウシェスク独裁政権の管理下に置かれた時代に破壊されてしまった。

 それでも、さまざまな障害を乗り越えてこの城のオーナーになった暁には、何にも代えがたい経験ができるはずだ。どんな銃撃にもびくともしない城壁、波乱に満ちた歴史(ルーマニア王室も1948年までブラン城に居住していた)、丘の上からの絶景。そして、数え切れないほどある寝室のどこかには、今もドラキュラに狙われた美女の亡霊が眠っているかもしれない。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏 、 ホルムズ海峡に多くの国が軍艦派遣と

ビジネス

最近の急速なウォン安・円安、深刻な懸念共有=日韓対

ワールド

米戦略石油備蓄の第1弾、来週末までに供給 8600

ビジネス

日立とGEベルノバ、東南アジアで小型モジュール炉導
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 2
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革命をもたらす「新世代ドローン」とは?
  • 3
    イラン攻撃のさなか、トランプが行った「執務室の祈祷」を中国がミーム化...パロディ動画が拡散中
  • 4
    ファラオが眠る王家の谷に残されていた「インド系言…
  • 5
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 6
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 7
    ホルムズ封鎖で中国動く、イランと直接協議へ
  • 8
    機内で「人生最悪」の経験をした女性客...後ろの客の…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 8
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中