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インド大停電が照らし出す電力不足の闇

2012年10月2日(火)15時33分
マニク・V・スリ(ペンシルベニア大学インド高等研究所客員研究員)

 いったい誰の責任なのか。さまざまな答えがあり得るが、最大の責めを負うべきは事なかれ主義の連邦政府だ。マンモハン・シン首相率いる連立政権の基盤は弱く、資金力豊富な大財閥と保護主義に走るポピュリストの板挟みになって身動きが取れず、一方で身内の政争に明け暮れている。このままでは国内だけでなく、外国投資家の信頼も失ってしまう。真のリーダーシップを持つ政治家が登場しなければ、インド経済の成長が止まるのも時間の問題だろう。

 いずれにせよ、今回の大停電でインフラ投資の不足がインド経済の足かせになっている事実が明らかになった。シン首相の掲げる改革はポピュリストの圧力で行き詰まっているが、今こそ世論を喚起して必要な措置を講じ、インフラや教育、医療への投資拡大に踏み込むべきだ。

 もちろん、民主主義の機能不全はインドだけの問題ではない。「人のふり見てわがふり直せ」と言うではないか。インド国民の災難を、遠いアジアの国の出来事と片付けてはいけない。ビジョンを欠き、厳しい選択を先送りしたがる政治家は欧米にもたくさんいる。

[2012年8月15日号掲載]

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