プレスリリース

一般市民の戦争による深い苦痛を表現したインスタレーション作品「長崎平和集会」を発表 8月9日の1日限りの展示を長崎県美術館2階コンサートホールで開催

2022年08月05日(金)18時00分
長崎県に原子爆弾が投下された8月9日(火)の犠牲者慰霊に合わせ、イギリスのアートレーベル a/politicalに所属するロシア人アーティスト・アンドレイ・モロドキン(Andrei Molodkin)と日本人音楽家・坂本真(Makoto Sakamoto)と坂本豊(Yutaka Sakamoto)は、長崎県美術館にてアート作品「アトミック・メッセージ(Atomic Message):長崎平和集会」を披露し、77年前、原子爆弾によって壊滅的な打撃を受けた国土と国民に追悼の意を捧げます。8時間におよぶ映像と音響が織りなすインスタレーション「長崎平和集会」は、罪のない一般市民が戦争によって味わう深い苦痛を表現したコミュニティ・アートプロジェクトです。

画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/321015/LL_img_321015_1.jpg
Atomic Message

■イベント詳細
会場 :長崎県美術館 2階コンサートホール
〒850-0862 長崎市出島町2-1
日付 :2022年8月9日(火)
時間 :13:00から21:00
「長崎平和集会」インスタレーション:アンドレイ・モロドキン
サウンド:坂本真、坂本豊
入場料 :無料
*1日限りのイベントです。


モロドキンと坂本は、長崎と広島の悲劇に関して、当時のソビエト連邦に対するアメリカの「力の誇示」が、その背景の一部に存在したと考えています。アメリカ大統領ハリー・S・トルーマンは「これは歴史上最も偉大な組織的科学の成果である」という有名な言葉を自ら残しています。二人にとってこの言葉は、アメリカという国の国力と能力の誇示を意図し、原爆投下を重要な科学的成果と位置付けていたこと、また同時に罪のない日本の一般市民に何世代にも渡る傷痕を残す可能性があったにも関わらず、それを無視したことを物語っているのです。この言葉には、政治的なシナリオに沿った恐怖が盛り込まれていると考えています。

今回、長崎で生まれ育った坂本とその家族は、西欧民主主義のシンボルであるアメリカのホワイトハウスをテーマにしたモロドキンの作品に協力し、実際に自分たちの血液を提供しました。原爆投下から2世代を経た彼らの血は、まさに「放射能の血統」を受け継ぎ、手遅れになる前に核の使用を阻止すべく、世界に対して警告を鳴らし続けています。被爆の影響は長期にわたり、世代を超えて受け継がれた放射能は、先天性異常、がん、他の健康問題を引き起こし続けているとも言われています。


<坂本真のコメント>
「私の祖父は13歳で被爆し、地獄のような風景の中を50キロも歩いたそうです。体が小さかったのが幸いし、多くの子供は助かったそうです。そして両親は爆風で倒れ死んでしまったため、子供たちは置き去りにされてしまったのです」。

<アンドレイ・モロドキンのコメント>
「長崎と広島の原爆は、当時のアメリカからソビエト連邦への警告でした。何十万人もの罪のない一般市民を殺戮した政治家たち同士が交わす原子爆弾のメッセージ。今回のアート作品は、あらゆる戦争で犠牲となった人々を忘れないでほしい、そうした世界のリーダーたちに向けたメッセージなのです」。


■アーティストの紹介
<坂本真(写真左)>
長崎県出身。インダストリアル、ドローン、アンビエント、ライブサウンドなど、様々なサウンドスケープを試みるノイズミュージシャン。デトロイトスタイルのテクノユニット、Sub Human Brosのメンバーとして10年間活動した後、ベルリンに移住しソロプロジェクトを開始。以降、坂本は前衛的な文化人たちとのコラボレーションと並行して、レコード盤、デジタルEP、カセットを着実にリリースしてきました。2021年、坂本はフランスの先鋭的なアートスペースである「The Foundry」に滞在し、ロンドンのセント・ジョンズ教会では、アンドレイ・モロドキンの作品「BLOODLINE」に合わせたライブサウンドスケープのパフォーマンスを披露し、その名をとどろかせました。

<坂本豊>
ドイツ・ベルリンと佐賀県の2拠点で活動。シンセサイザーを用いたジャンルにとらわれない音楽とサウンドスケープを制作するテクノユニットSub Human Brosのメンバー。
兄である坂本真と同様に、世界で活躍するサウンドクリエイター。

<アンドレイ・モロドキン(写真右)>
人間の血液、原油、鉄、ボールペンを使った作品で国際的に高い評価を受けているアーティスト。2009年ベネチアビエンナーレから2021年のワシントンD.C.の展示に至るまで、モロドキンのプロジェクトは常に検閲の対象となってきました。彼の大規模インスタレーション「Liquid Modernity」は、2012年にイギリスの現代美術館テート・モダンのコレクションに追加。2019年には、Skengdo & AM、Drillministerといったドリルラッパーとコラボレーションし、表現の自由のために戦う曲「Political Drills」を発表しました。特にロシアのウクライナ侵攻以来、モロドキンの「ウクライナ人の血で満たされたプーチン(Putin Filled with Ukrainian Blood)」は、反プーチン作品としてモスクワに密輸され、戦勝記念日のパレード中に赤の広場で公表され大反響を呼びました。
また2014年から、フランスのモブルゲにあるアート施設「The Foundry」とコテレに位置する「ラ・ライエール(La Raillere)」の再構築にも携わっています。

画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/321015/LL_img_321015_2.jpg
アーティスト

■a/politicalレーベル
a/politicalはカルチュラル・テラー(文化的恐怖)の原理を通じて、ラディカルな知を探求しているレーベルです。アーティストや煽動者と協力し、大規模なプロジェクトをプロデュース、現代社会における支配的な物の見方に挑戦を試みています。また過去にはドリルラッパーのSkengdo & AMやDrillministerとコラボレーションし、「Political Drills (The Media)」という曲を発表。イギリス政府の手で弾圧されている黒人の遺産を、音楽の形で自由表現する活動を擁護しました。この前例に基づきa/politicalは、メインストリームレーベルに適さない作品を手がけるミュージシャンとのコラボレーションの場として、新レーベルを立ち上げたのです。


詳細はこちら
プレスリリース提供元:@Press
今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

BofAのCEO、近い将来に退任せずと表明

ワールド

トランプ氏、反ファシスト運動「アンティファ」をテロ

ビジネス

家計の金融資産、6月末は2239兆円で最高更新 株

ワールド

アブダビ国営石油主導連合、豪サントスへの187億ド
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 5
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中