Picture Power

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

かくも滑稽な 名もなき人工都市

The Anonymization of the Landscape

Photographs by Robert Harding Pittman

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[Sacred Ground 開発の地] 米ロサンゼルス郊外の計画都市ウエストリッジ

 人間の息遣いが感じられない無機質な空間──カメラマンのロバート・ハーディング・ピットマンが見るところ、都市開発の結果生まれた人工コミュニティーはそんな空虚な存在だ。

 こうした人工都市が世界中に生まれている。都市計画に基づいて広大な土地を分譲し、戸建てやマンションの周りに幹線道路や大型ショッピングモール、ゴルフ場まで建設する。開発現場を世界各地で撮影してきたピットマンによれば、その外観はスペインの沿岸部からドバイの砂漠地域に至るまで、どこも似たり寄ったりだ。

 気候も文化も違う別の国に同じような光景が広がるのは、その開発過程が同じだからだと、ピットマンは言う。何百年にもわたって育まれた自然を根こそぎ破壊し、地面をアスファルトで覆って道路を整備し、灌漑システムと称して芝生や装飾樹を植える。こうして大地の上に現れるのは、曲がりくねった路地や歴史を重ねた街角という温かみのある風景ではなく、真新しい「建造物」でしかない。

 ピットマンが写す風景は、樹木などの自然までが不自然で、おもちゃのごとく人工的だ。その土地の特色が消され、「顔」のない街が出来上がる。都市部の喧噪を逃れ、郊外の人工都市に向かう人々は、そこで何を見つけるのだろうか。

Photographs from "Anonymization" (Kehrer Verlag) by Robert Harding Pittman

<2012年5月16日号掲載>

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