Picture Power

全身9ドルの服が語る中国の肖像

$9 FASHION

Photographs by Quentin Shih

全身9ドルの服が語る中国の肖像

$9 FASHION

Photographs by Quentin Shih

個性的な髪形で麺をすする汪雨陽(ワン・ユィヤン)は、昼間は理髪店で、夜は屋台で働いている

 ポップな色彩にキッチュな着こなし、どこかぎこちないモデルたち・・・現代中国をリアルに切り取るファッションフォトが並ぶ。ただしここには、華やかな舞台もプロのモデルも、高級ブランドの新作も登場しない。

写真家クエンティン・シー(時暁凡:シー・シャオファン)が挑んだのは、異色ずくめのファッション撮影。中国の小さな地方都市、山西省南部の臨汾市を舞台に、素人の住民をモデルに起用して予算9ドルで洋服をコーディネートさせた。スタイリングの唯一のルールは、地元の店で地元のスタイリストと共に探した「メイド・イン・チャイナ」の安い服だ。

 「単なるドキュメンタリーにしたくはなかった」とシーは言う。「中国社会の肖像と、鮮やかな色彩あふれる作り物のファッション界を融合させたかった」
 そこから見えてきたのは、北京や上海などの大都市とはまったく異なる真実の中国の姿。急速な発展と古い伝統のはざまで、地方に暮らす若者たちは自分自身を見失っている。自分は何者か、どこから来たのか、そしてどこへ向かうのか──。ファッションとは本来、アイデンティティーを物語るもの。自己の在り方に迷う彼らと、9ドルのファッションが、不思議な調和をもって語り掛ける。

Photographs by Quentin Shih

<本誌2014年7月8日号掲載>

【お知らせ】
『TEN YEARS OF PICTURE POWER 写真の力』
PPbook.jpg本誌に連載中の写真で世界を伝える「Picture Power」が、お陰様で連載10年を迎え1冊の本になりました。厳選した傑作25作品と、10年間に掲載した全482本の記録です。
スタンリー・グリーン/ ゲイリー・ナイト/パオロ・ペレグリン/本城直季/マーカス・ブリースデール/カイ・ウィーデンホッファー/クリス・ホンドロス/新井 卓/ティム・ヘザーリントン/リチャード・モス/岡原功祐/ゲーリー・コロナド/アリクサンドラ・ファツィーナ/ジム・ゴールドバーグ/Q・サカマキ/東川哲也/シャノン・ジェンセン/マーティン・ローマー/ギヨーム・エルボ/ジェローム・ディレイ/アンドルー・テスタ/パオロ・ウッズ/レアケ・ポッセルト/ダイナ・リトブスキー/ガイ・マーチン

MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    50歳には「まったく見えない」...信じられないレベルの「若見え」な女性の写真にSNS震撼
  • 3
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の定説に挑む、3人の日本人科学者と外科医
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    あなたの隣に「軍事用ヒト型ロボット」が来る日
  • 6
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 7
    【独自取材】「氷上のシルクロード」を目指す中国、…
  • 8
    「ショックすぎる...」眉毛サロンで「衝撃的な大失敗…
  • 9
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中