コラム

なぜ脳は、日本的「美」に反応する? 欧米の美とは異なる「共存」と、AIが処理できない「無」

2026年03月07日(土)11時50分
脳科学で解き明かす日本的美の真髄

David Carillet/Shutterstock

脳科学とAI開発を産業に結びつける「応用脳科学コンソーシアム(CAN)」は、2025年度の新たな取り組みとして「『日本的美』を脳から科学するSIG(Special Interest Group)」を発足、第1回会合が先月、京都を舞台に開催された。

欧米的な美意識論に留まらず、日本人が本来備えている「美」の感性を脳科学、心理学、行動科学の視点から再定義することを目的としている。アカデミックな研究発表にとどまらず、企業関係者も交えた実践的な議論の場とすることで、分野横断的に美と脳、そしてビジネスの接点を明らかにしていく構えだ。全3回の議論を通じ、日本的美の輪郭とその可能性が浮かび上がろうとしている。

SIGとは?

CANには「計算論的脳・認知行動モデリング」、「脳から考える偽・誤情報対策SIG」「「推し」の脳科学」など8つのSIGがある。それぞれの分野に造詣の深い専門メンバーが研鑽を積み、日ごろから意見や情報を交換し、年数回会合の場を持っている。

今回新たに立ち上げた「日本的美」のSIGは、日本人が古くから育んできた独自の美意識に着目し、それを神経美学や認知科学の知見と結びつけながら、企業経営や産業競争力へとどう接続できるのかを議論する試みだ。発足にあたり、「日本的美には、言語化されてこなかったが確かに共有されている価値がある」として、このテーマの意義を確認し合うとともに、「日本特有の美意識こそが企業の産業競争力に直結する」との仮説が提示された。

神経美学の第一人者である石津智大教授(関西大学)と、脳と創造性の研究で知られる大黒達也先生(東京大学)らをコーディネーターに迎え、伝統工芸から最先端のモノづくりまで、幅広い産業分野における「日本的美」の価値を議論する。

プロフィール

南 龍太

共同通信社経済部記者などを経て渡米。未来を学問する"未来学"(Futurology/Futures Studies)の普及に取り組み、2019年から国際NGO世界未来学連盟(WFSF・本部パリ)アソシエイト。2020年にWFSF日本支部創設、現・日本未来学会理事。主著に『未来学』(白水社)、『生成AIの常識』(ソシム)『AI・5G・IC業界大研究』(いずれも産学社)など、訳書に『Futures Thinking Playbook』(Amazon Services International, Inc.)。東京外国語大学卒。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン戦争は2週目に、トランプ氏「無条件降伏」求め

ビジネス

アングル:欧州で若者向け住宅購入の新ビジネス、価格

ワールド

焦点:道半ばの中国「社会保険改革」、企業にも個人に

ワールド

昨年の関税合意実施を米と確認、日本が不利にならない
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だったはずの中国が、不気味なまでに静かな理由
  • 2
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示さない
  • 3
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗雲...専門家「イランの反撃はこれから」「報道と実態にズレ」
  • 4
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 5
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 6
    10歳少女がライオンに激しく襲われる...中国の動物園…
  • 7
    「みんな一斉に手を挙げて...」中国の航空会社のフラ…
  • 8
    【WBC】侍ジャパン、大谷翔平人気が引き起こした球場…
  • 9
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 10
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 9
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story