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本当に「怠慢」のせい? ヤンキース・コールがベースカバーに走らなかった理由を考察
唯一の違いは、打撃後のボールのスピードである。
1回表は打球スピードが遅かった。そのため、容易に捕球でき、一塁手が一塁までの最短距離、つまり、対角線上を移動できた。ところが、5回表の打球スピードは速かった。そのため、捕球するために平行線上を移動せざるを得なかった。その結果、一塁までの移動により多くの時間を要したのだ。これは、直角三角形をイメージすれば分かりやすい。

1回表は、斜辺を移動すればよかったが、5回表は、直角の両辺(対辺と隣辺)を移動しなければならかった。この長さのわずかな差が、アウトとセーフを分けたのだ。
さて、こうした違いを「意識すべし」と、コールに言えるだろうか。その要求は酷というものだ。
コールの対応を科学的に説明してみよう。1回表のベッツの打球をどう処理したか、その記憶がコールの潜在意識に入った。直前の記憶は、すぐに再利用される可能性が高いので、意識のすぐ下に保存されている。保存されているだけでなく、待機しているとみなすのが、プライミング効果だ。この記憶は、時間の経過とともに潜在意識の奥深くに沈んでいくのだが、まだそれは起きていない。そして5回表、まさにプライミング効果が発生した。
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