IMF、世界成長率を下方修正へ 金融支援需要は最大500億ドル
国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事。4月9日、米ワシントンで撮影。REUTERS/Ken Cedeno
[ワシントン 9日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は9日、米・イスラエルとイランの交戦による影響で、IMFへの短期金融支援の需要が200億─500億ドルまで拡大するとの見通しを示した。
世界銀行との合同会合を前にIMF本部で講演し、紛争が世界経済の試練になっていると指摘。来週発表する「世界経済見通し」では、最も楽観的なシナリオでもインフラ被害や供給混乱、信頼感の低下などにより、世界経済の成長率見通しは下方修正されると指摘した。
ゲオルギエワ氏は、紛争で世界の石油供給が日量13%、液化天然ガス(LNG)供給が20%それぞれ減少し、エネルギー価格の急騰やサプライチェーン(供給網)の混乱を招いたと強調。製油所の操業停止や精製品不足により、輸送や観光、貿易に混乱が生じており、影響はしばらく続くとの見方を示した。
また、新たに4500万人が食料不安に直面し、飢えに苦しむ人は3億6000万人を超える見通しだとしたほか、硫黄、半導体製造用ヘリウム、プラスチック用ナフサなど産業投入財の依存関係を踏まえると、供給網の混乱も続くと予想した。
さらに、紛争によるIMF加盟国へのリスクは多大であるものの、一方で国によって異なると指摘。全体の80%を占める純石油輸入国は価格上昇と供給不足の影響を受け、主要産油国や域内の非産油国もさまざまな打撃を受けているとした。
「最善のシナリオでも、紛争前の状態に戻ることはない」と指摘。例えば、湾岸地域のLNG生産の93%を占めるカタールのラスラファンの施設は3月2日以降操業を停止しており、フル稼働に戻るまで3─5年かかる可能性があるという。
このため、会合では紛争による影響への対応やIMF加盟国への支援が議論の中心となるとした。IMFは十分な資金を有しており、既存プログラムを通じて国際収支支援を拡大できるとし、追加で支援を要請する国が出てくるとの見通しを示した。
IMF当局者によると、紛争前には既存事業で1400億ドルを提供していた。融資残高とすでに準備中の融資を含めると、IMFの総コミットメントは2450億ドルに上る。ボストン大学の調査によると、IMFは2024年5月─25年3月に360億ドル超の新規融資を承認した。
公表する経済見通しでは複数のシナリオを示す予定。今年1月時点では26年の世界成長率を3.3%、27年を3.2%と予測していた。
一方、ゲオルギエワ氏は、輸出規制や価格統制といった世界経済を一段と混乱させる恐れがある措置を各国が取ることに警鐘を鳴らした。また、インフレ期待のアンカーが外れ、インフレスパイラルを引き起こす恐れがある場合は、中央銀行が「断固利上げすべきだ」と強調した。





