インタビュー:基調物価に上下双方のリスク、日銀の見極め難しく=門間元理事
3月27日、元日銀理事の門間一夫氏(みずほリサーチ&テクノロジーズ・エグゼクティブエコノミスト)は、中東情勢の緊迫化で原油価格が高騰する中、日銀の利上げ判断にとって重要な基調的な物価上昇率は上下双方に振れるリスクがあり、「その幅が大きい」と述べた。写真は日銀本店。2023年9月、都内で撮影(2026年 ロイター/Issei Kato)
Takahiko Wada Leika Kihara
[東京 27日 ロイター] - 元日銀理事の門間一夫氏(みずほリサーチ&テクノロジーズ・エグゼクティブエコノミスト)は27日、中東情勢の緊迫化で原油価格が高騰する中、日銀の利上げ判断にとって重要な基調的な物価上昇率は上下双方に振れるリスクがあり、「その幅が大きい」と述べた。どちらのリスクが大きいか見極めは難しく、4月の金融政策決定会合での政策判断はギリギリまで迷うのではないかと話した。
門間氏はロイターとのインタビューで、中東情勢の緊迫化を受けて経済活動の制約が増えていくのか、家計の節約志向が広まらず物価に上昇圧力が掛かるのか、現時点では見極められないと指摘。4月の展望リポートでは、引き続き緩やかな成長見通しを示しつつも「上下に非常に幅があるということを強調するようなものになり、植田(和男)総裁もそのように説明するのではないか」とみている。
利上げ判断に当たっては、1―2年先の基調的な物価上昇率が重要だが、基調物価は上下に振れるリスクがあり、しかも「その幅が大きいというのが今の状況だ」と話す。どちらのリスクが大きいとみるかで政策判断するが、日銀は決定会合の「ギリギリまで迷うと思うし、判断するとしてもギリギリになると思う」とした。その上で「利上げがなくなるとか、利上げを加速しなければいけないとかいったことが4月の段階ではっきりする可能性は小さいのではないか」とも話した。
上下真逆のリスクに直面して、日銀は今後、決定会合のたびに難しい判断を迫られそうだとみている。春闘の初動のモメンタムなど、これまでの利上げには重点的な点検ポイントがあった。昨年4月のトランプ関税発表後は、需要の下振れリスクという明確な方向性があったが、今回の供給ショックを受けた政策判断は単純な図式にはならないと述べた。
門間氏は、供給ショックによる物価上昇圧力への政策対応について「フォーミュラ(公式)はなく、総合判断になる」という。その上で、供給制約をもたらしている要因が需要サイドにどういう影響をもたらすかが重要になると話した。石油の供給が減ることで、節電や工場の操業停止が広まるなら需要は減退して利上げの必要性は後退するが、ガソリン価格が高騰する中でもドライブ需要が減退しなければ物価は上がり、利上げの必要性を高めることになる。
日銀は26日、消費者物価(CPI)の新たなコア指標や需給ギャップの再推計値を公表した。門間氏は、日銀が市場などとコミュニケーションしていく上で「誤解を与えているかもしれない部分を修正する」取り組みだと評価した。一方で、金融政策運営へのインプリケーションはこれまでと「変わらない」と述べた。





