英中銀0.25%利下げ、5対4の僅差で決定 意見分かれ異例の再投票
イングランド銀行は7日、政策金利を予想通り4.25%から4.00%に引き下げた。ロンドンの本部、6月撮影(2025年 ロイター/Carlos Jasso/File Photo)
William Schomberg David Milliken Suban Abdulla
[ロンドン 7日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行=BOE)は7日、政策金利を予想通り4.25%から4.00%に引き下げた。しかしインフレ懸念から、9政策委員のうち4人は据え置きを求め、利下げ局面の終了が近い可能性を示唆した。
金融政策委員会(MPC)史上初めて投票を2回実施した。1回目では外部委員のテイラー理事が0.5%の利下げを求め、据え置きと0.25%の利下げが同数となったためだ。
据え置きを主張したのは初めて少数派となったロンバルデリ副総裁のほか、チーフエコノミストのピル委員ら。ベイリー総裁は引き下げを支持した。
ベイリー総裁は会合後の記者会見で「政策金利をあまりにも急激、もしくはあまりにも大幅に引き下げないことが引き続き重要」とし、インフレの上昇が短期間で終息することが予想されると強調。その上で「インフレの中期見通しに対するリスクバランスの変化が見られれば、われわれは方針を調整する用意がある」と言明した。
KPMG・UKのチーフエコノミスト、ヤエル・セルフィン氏は、「僅差の票決と議事録からはMPCの分裂を浮き彫りにした」と指摘。「これはインフレ見通しに対する両面のリスクと政策運営での不確実性を反映している」と述べた。その上で、11月には最後の利下げに踏み切るとの見通しを示した。
発表を受け英国債利回りは上昇、株価は下落した。
BOEは一段の利下げについて「緩やかで慎重な」アプローチを取るとのガイダンスを維持したが、見通しについて追加。「政策金利の引き下げで金融政策の制約度は低下した」と指摘した上で、金利の道筋は事前に設定されていないと繰り返した。
ベイリー総裁は金利が依然低下する道筋にあるとしつつも、「金利の方向性について真の不確実性がある。その道筋はより不確実になったと思う」と述べた。
BOEはインフレ見通しについて、9月ピーク時点の水準を3.7%から4%に上方修正。食料品を中心とした物価上昇が賃金や長期的な物価上昇圧力を押し上げるリスクに引き続き警戒するとした。
議事要旨では「中期的なインフレ圧力をめぐる上昇リスクが5月以降やや高まったと判断している」との見方を示した。
インフレ率が目標の2%に戻るのは2027年第2・四半期と予想、これは前回に比べ3カ月遅れている。
インフレ率は2021年5月以降、ほぼ一貫して目標の2%を上回っている。
英中央銀行は、7ー9月期の経済成長率を0.3%と予想、第2四半期の0.1%を上回ると予想した。長期的な成長率予測は5月の報告からほとんど変わらず、今後数年間の年間成長率は1%強とした。
LSEGによると、金利先物が見込む11月までの0.25%の利下げ確率は50%、年内の確率は75%。利下げ発表前は、8月以降、年内さらに1回の利下げが行われるとの見方がほぼ完全に織り込まれていた。
ベイリー総裁はブルームバーグテレビのインタビューで、年内の追加利下げ観測の後退は、今回の利下げが僅差で決定されたことを反映していると指摘。5人が利下げに賛成し、4人が据え置きを求めたことは「微妙なバランス」だったと述べた。
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