ニュース速報
ビジネス

英国の不就労率、8年ぶり高水準 G7で唯一コロナ前上回る

2024年04月18日(木)14時12分

英国では新型コロナウイルスのパンデミックから4年を経た現在も、無職で求職活動もしていない人の割合である不就労率が上昇を続けている。写真はロンドンの英中銀前で2023年9月撮影(2024年 ロイター/Peter Nicholls)

David Milliken

[ロンドン 17日 ロイター] - 英国では新型コロナウイルスのパンデミックから4年を経た現在も、無職で求職活動もしていない人の割合である不就労率が上昇を続けている。主要7カ国(G7)の中で不就労率が今なおパンデミック前を上回っているのは英国だけだ。

人口に占める労働人口の比率が低下すれば通常、国内総生産(GDP)を押し下げる要因となる。英予算責任局(OBR)は不就労率が上昇すれば、人口増加による経済効果を帳消しにする公算が大きいとしている。この問題を理由にOBRは先月、国民1人当たりGDPの見通しを下方修正した。

OBRは昨年7月、不就労率が1.2%ポイント上昇すれば、GDPを1.5%減少させる上、年間の政府借り入れを210億ポンド(260億ドル)押し上げるとの推計を示した。

イングランド銀行(中央銀行)は労働力が減少すれば、人手不足が拡大するとともに賃金圧力を維持するため、インフレが持続する要因となり、政策金利の引き下げが困難になると心配している。

英王立統計局(ONS)が16日発表した統計によると、2023年12月―24年2月は労働参加率が下がり、不就労率は22.2%に上昇して2015年半ば以来の高水準となった。

失業率は4.2%と6カ月ぶりの高水準となったが、パンデミック前の標準的な水準より低めにとどまっている。

英国の不就労率は2010年以降、着実に下がり、2020年序盤のロックダウン前には約50年ぶりの低水準である20.5%となっていた。

シンクタンクであるレゾリューション・ファウンデーションのエコノミスト、チャーリー・マッカーディー氏は「不就労率の上昇と、その財政、給付制度、人々の健康と福祉への影響は、現政権および次回総選挙で勝利した次期政権の双方にとって最大級の課題の1つになる」と述べた。

ONSの調査で不就労者のうち働きたいと答えた人の比率は、パンデミック直後には大きく上昇したが、それを除くと2015年以降は低下傾向にある。今年2月までの3カ月間は18.1%と過去30年余りで最低だった。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

英政府、中国大使館建設計画巡る決定を再び延期 12

ビジネス

米銀、アルゼンチン向け200億ドル融資巡り米財務省

ワールド

インド、すでにロシア産石油輸入を半減=米ホワイトハ

ワールド

マレーシアGDP、第3四半期速報は前年比+5.2%
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体…
  • 5
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 6
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 7
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    ホワイトカラーの62%が「ブルーカラーに転職」を検討…
  • 10
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 1
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中