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天津爆発で安全確保困難、トヨタ現地工場の生産停止延長へ

2015年08月19日(水)22時31分

 8月19日、トヨタ自動車は、中国・天津市で12日深夜に起きた化学物質倉庫での大規模爆発事故により、現地合弁会社での生産停止を23日まで続けることを明らかにした。爆発現場で17日撮影(2015年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

[東京/北京 19日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>は19日、中国・天津市の港湾地区で起きた大規模爆発事故により、2つの現地合弁工場での生産停止を22日まで延長する方針を明らかにした。工場周辺での安全が確保できないため。

23日は日曜日で、通常は休業日となっている。いつ稼働を再開するかは未定で、状況を確認しながら慎重に判断するという。

同社は爆発事故を受け、夏季休業明けの17日から19日まで中国自動車大手の第一汽車集団との合弁会社「天津一汽トヨタ」の泰達工場と西青工場の稼働を停止。20日以降の稼働については、今後の動向を見ながらあらためて判断するとしていた。

現場周辺に住んでいた現地従業員67人が負傷。泰達工場は爆発現場から約2キロほどしか離れておらず、爆発により窓ガラスが割れるなどの被害があった。西青工場は約70キロと離れており、事故による被害を直接受けてはいないが、泰達工場からの部品供給が滞るため、同様に稼働を停止していた。

天津一汽トヨタは中国における主力生産拠点の1つで、小型車「カローラ」などを生産している。2014年の生産実績は約44万台。調査会社IHSオートモティブは、1日当たり2200台の生産に影響が出る可能性があるとみている。

トヨタは新たに、合弁会社「四川一汽トヨタ」の長春西工場(吉林省長春市)も20―21日に稼働を停止することを決めた。事故現場に近い天津港で通関業務に遅れが出ており、日本から輸入している部品が届いておらず、生産ができないため。当初から稼働日だった22日には再開する予定で、月内に2日間の振り替え出勤も実施し、生産の遅れを挽回する計画だ。同工場ではスポーツ用多目的車(SUV)「RAV4」を生産している。

<荷揚げも天津港から一時変更へ>

12日に発生した有害化学物質倉庫での爆発事故により、当局は現場周辺への立ち入りを規制している。事故現場は天津港に近く、一時保管場所も避難勧告が出ている状況だ。このため、自動車メーカー各社は天津港から別の港へ輸出車の荷揚げを一時的に変更する動きに出始めている。

日系メーカーでは、トヨタが天津港から「上海や大連の港への変更を検討している」(北京在住の同社幹部)ほか、三菱自動車<7211.T>がすでに上海や大連の港に振り替える方針を決定。富士重工業<7270.T>は20日に日本を出港する予定の輸送分から上海港に荷揚げ先を切り替える方向で最終調整中で、同日以降は天津港の復旧状況を見ながら決めるとしている。

仏ルノーや独BMWが上海港へ、独フォルクスワーゲン(VW)や韓国の現代自動車<005380.KS>も上海と広州の港へ、それぞれ荷揚げ先を変更する方針を打ち出している。中国では輸入される自動車の約40%が天津港から荷揚げされている。

*内容を追加して再送します。

(白木真紀、白水徳彦 取材協力:舩越みなみ、Jake Spring)

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