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カナダからの呟き

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コロナ対策として公道にレストランのテーブルを進出させたトロント

道がいきなり一方通行になったり、道幅が狭くなったりするので、ドライバーやサイクリストにはかなりの迷惑だが、食事をしている人たちは笑顔だった。(2020年8月著者撮影)

カナダのトロントは冬はマイナス20度になるが、夏は30度を超えることもある。厳冬なので「夏も涼しいのかな」と思われがちだが、かなり暑い。そんなトロントは、現在(2020年8月30日現在)、新規コロナウイルス感染対策においてステージ3。新規感染者が減っていない。そして7月30日まではレストランの屋内で食事を取ることができなかった。デリバリーやテイクアウトのみ、飲食できるのは屋外のパティオのみという厳しい条件であった(現在は距離を取るなら、店内の食事も可能)。しかし、パティオスペースを持っているレストランやバーは限られている。

そこで出てきたのが公道をパティオにするアイデア。オンタリオ州やトロント市の後押しで申請が簡素化、路駐スペースや公道などにもパティオスペースを作ることが可能となった。 最初に見たときはレストランやバーが勝手にやっているのかと思い驚いたが、州と市のコロナ対策の一環だった。 車道との仕切りは、工事のポールなど簡素なものからお洒落なものまで様々。

とはいえ、パティオのすぐ隣で車がブンブン走ってる訳である。 排気ガスや騒音が気にならないのか不思議だが、カナダの人にとってはそういったネガティブな面より、『外でお酒が飲める』というポジティブな面の方が大きいようだ(オンタリオ州では公共の場での飲酒は禁止されているが、レストランのスペースとしてならOK)。

通常、カナダの書類手続きは嫌気がさすほど遅いのだが、このパティオの公道利用申請に関しては手続きが早く進むように本気を出したらしく、あっという間にトロントでは公道パティオが浸透した。

短い夏を楽しむ為に、カナダ人の太陽や夏への思い入れは並々ならぬものがあり、いつもパティオは鈴なりの人である。今年はコロナの影響でパティオのオープンも遅れていたし、外出抑制があったので、その鬱憤を晴らす意味もあり、例年以上に『パティオでビールを飲む』ことへの情熱がほとばしっているように感じる。

個人的には、車道のすぐ脇で飲んだり食べたりはしたくないが、カナダ人はあまり気にしてない。夏を思いきり楽しみたいカナダ人にとって、車が通るすぐ横でビールを飲むというのも、一種のエンターテイメントになっている様子。 確かに期間限定イベントであるといえる。ちょっとした『特別感』があるのだ。

こういう大雑把さは、カナダの強みかもしれない。 パティオスペースができた公道は、車も速度を落として通っている。人がいると華やかな雰囲気になるので 、それがまた客を呼び込びこんでいる。 プロモーションとしてもかなり成功している様子だ。

カナダのこういう行動は素晴らしく早い。 カナダのビール好きな国民性と「パティオでビールを飲む楽しみを!」という執念のようなものを感じる。

新型コロナウイルスの影響で、沈んだ夏になるのかと思いきや、独自の楽しみ方を見出していた。カナダ人はこういう『足元に幸せを育てる』行動がうまいように思う。経済も相当落ち込んでいるのだが、悲壮感が漂わせるより、「あるもので何とかする」、「どんな状況でも自分たちは夏を楽しむ」という気骨のようなものを感じる。

いつもは政策的にも仕事の処理速度的にもボーッとしているカナダなのだが、新型コロナウイルスの対策に関しては外出抑制、給付金や補償などを迅速に行ってきた。さらにトロントでは「屋外で営業できるようにしたい」という売り手の欲求と「外でビールを飲みたい!」という買い手の要求を満たす為に、驚くべき書類処理のスピードを見せている。在住年数も長くなったのだが、いまだに、カナダの臨機応変な柔軟さと底力に驚いたりするのであった。

 

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カナダに棲む女。食事においての最後の一品は自分が食べたい。寒がりなのにカナダに移住。英語が苦手なのにカナダに移住。フランス語が喋れないのにカナダに移住。

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