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中露関係

係争地域も「中国領土」と記された「公式地図」にロシアが強く言えない理由とは?

2023年9月5日(火)09時10分
ブレンダン・コール
プーチン, 習近平

vovidzha-shutterstock

<ロシア崩壊後の領土すら狙う、したたかな中国とも「戦略的パートナーシップ」を優先せざるを得ない「ロシアの弱腰」の背景について>

中国の自然資源省が8月28日、新たな公式地図を発表したが、これに抗議したのがマレーシアやフィリピン、インド、台湾。自国との係争地域が中国領土と記されたからだ。

一方でロシアは、ボリショイ・ウスリースキー島を含む係争地域が中国領土とされても沈黙を貫く。長年の論争の末、2008年に中ロ間で分割された土地だ(編集部注:ロシアは8月末、領土問題は解決済みと声明)。

ロンドン大学東洋アフリカ学院中国研究所のスティーブ・ツァン所長は「これはプーチン政権が中国との戦略的パートナーシップを優先している表れ」と本誌に語る。

背景にあるのがウクライナ戦争だ。欧米から制裁を科されるロシアは、中立を表明している中国との経済的つながりを強めている。

ロシアの野党政治家ガルリ・カスパロフは、ロシア崩壊が将来起きたら、中国は清朝末期にロシアに割譲した極東部など、ロシア領土への主張をさらに強めるだろうと語っている。

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