最新記事
インターネット

「ISISの花嫁」だった英女性が、SNSのセレブに...テロ組織からの劇的な転身の目的とは

2023年5月13日(土)19時13分
イングリッド・メンドーサ
ISIS(自称イスラム国)メンバー

勢力を拡大していた当時の「イスラム国」には加入を志願する女性たちもいた(ラッカ、2014年6月) REUTERS/Stringer

<欧米諸国などから自らの意思で「イスラム国」の占領地域に渡り、戦闘員の妻になる女性たちは当時、大きな注目と批判を集めた>

2014年にテロ組織ISIS(自称イスラム国)に加わったイギリス人女性が今、ファッション・インフルエンサーとしての活動を精力的に行って注目を集めている。ISISが勢力を拡大していた当時、自らの意思でテロ組織の占領地域に渡って戦闘員の妻になる「ISISの花嫁」たちが話題となったが、今度はSNSを舞台に再び世界の関心を集めようとしているようだ。

■【写真】元ISISの花嫁で、現在はセレブな生活とファッションの投稿を繰り返す英国人女性シャキル

イギリス人女性タリーナ・シャキルは2014年、テロ組織ISIS(自称イスラム国)に加わるべく自らシリアに渡り、のちに脱出して帰国。有罪判決を受けた。服役後の現在は、人生の新たなステージに踏み出すべく、ファッション・インフルエンサーを目指しているようだ。

「ISISの花嫁」に志願した女性として世界的に有名になったシャキルは釈放後、Instagramにファッションやコーディネートのアイデアのほか、世界各地を訪れたときに撮影した写真や動画を次々と投稿していると、イスラエル日刊紙のエルサレム・ポストが伝えている。

現在34歳のシャキルが、最初にメディアを騒がせたのは9年前だった。ISISに加わろうとして、当時1歳2か月だった息子を連れてイギリスからシリアに渡ったのだ。しかし、すぐに身の危険を感じ始めたとして、3カ月後にシリアからトルコへと脱出した。

シャキルは、イギリスに帰国してすぐに逮捕された。当時は、シリアに渡ったのはISISに加わるためではなかったし、兵士と結婚するためでもなかったと主張していたが、検察官が提示した証拠から、シャキルが、ISIS兵士と結婚したスコットランド人女性のブログを読んでいたことが明らかになった。そのブログでは、シリアに渡った独身女性が、ジハード戦士と見合い結婚させられる様子が詳しく説明されていた。

さらに、シャキルがシリアに滞在していた3カ月の間、ISIS兵士との結婚を待つ女性たちと同居していたことも明らかになった。結局、シャキルは6年の実刑判決を受けた。ISISに加わり、ソーシャルメディアを通じてテロ行為に参加するよう呼びかけたことが罪状だ。

投稿には「fashion」を含むハッシュタグ多数

2019年に釈放されて以降は、テレビ局の取材に応じて、ISISに志願して物議をかもしたことや、AK-47ライフルと一緒に写った写真を投稿して拡散したことについて語ってきた。

そして2021年、彼女はInstagramに「That Girl Tam Tam」という名前で写真の投稿を開始した。これまでに旅してきたスペインやアルバニア、モロッコ、イタリアでの様子をフォロワーに向けて公開している。そうした投稿のほとんどに彼女は、「fashion blogger」「fashion style」「fashionista」「fashiongram」など、ファッションという言葉が含まれたハッシュタグを多く付けている。

企業経営
ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パートナーコ創設者が見出した「真の成功」の法則
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

エアバス、11月の納入数が減少 胴体パネル問題で

ワールド

台湾最大野党主席、中国版インスタの禁止措置は検閲と

ビジネス

ドイツ景気回復、来年も抑制 国際貿易が低迷=IW研

ワールド

台湾、中国の軍事活動に懸念表明 ロイター報道受け
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 6
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 7
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 8
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 9
    「ロシアは欧州との戦いに備えている」――プーチン発…
  • 10
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 4
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中