最新記事

災害

米北東部、ハリケーン「アイダ」の死者50人に ルイジアナはなお停電

2021年9月6日(月)09時12分
ハリケーン「アイダ」の被害を受けたニューヨークのブロンクス地区

米国でハリケーン「アイダ」の影響が続いている。北東部では洪水による行方不明者の捜索が行われ、5日も死者が新たに確認された。写真は2日、ニューヨークのブロンクス地区で撮影(2021年 ロイター/Caitlin Ochs)

米国でハリケーン「アイダ」の影響が続いている。北東部では洪水による行方不明者の捜索が行われ、5日も死者が新たに確認された。ルイジアナ州では上陸から1週間経っても約60万の住宅・企業が依然停電している。

アイダは8月29日、時速240キロの風速を維持し、「カテゴリー4」のハリケーンとしてルイジアナ州に上陸。同州では5日時点の死者数が少なくとも13人に増えた。

アイダはその後、北に進路を取る中で勢力が弱まったものの、東海岸で鉄砲水を引き起こし、最新の情報によると、少なくとも50人が死亡した。

ニューヨーク州のホークル知事によると、ニューヨーク市のセントラルパークでは1日、1時間に78ミリの記録的雨量を観測。滝のような水が企業や公共交通システム、住宅1200戸を襲い、被害額が5000万ドルを超えた。

知事は既にバイデン大統領から非常事態宣言の承認を受けており、仮設住宅や自宅再建の費用を賄う連邦資金に関する要請書類に5日署名した。

ニューヨーク州ではこれまでに17人の死者が確認された。内訳は4人がウェストチェスター郡、残りがニューヨーク市となっている。同市ではほぼ全ての犠牲者が違法な地階アパートに閉じ込められていたという。こうしたアパートは低所得層の住民にとって最後に残された手頃な住宅選択肢の一つとなっている。

ニュージャージー州ではこれまでに27人の死者が確認され、依然として4人が行方不明となっている。

このほか、コネチカット州では少なくとも1人、ペンシルベニア州では少なくとも4人、メリーランド州では少なくとも1人の死者がそれぞれ確認されている。

また、アイダは米メキシコ湾の石油生産にも打撃を与え、5日時点で原油生産の88%、天然ガス生産の83%が依然停止している。

石油ハブのフォーチョン港近くでは大規模な油膜が確認され、衛星画像からは、沿岸の海域に茶色っぽい黒色の油膜が広がっている様子が分かる。民間の潜水チームが流出元の特定を急いでいる。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・あなたは豪雨災害がなぜ起こるかを分かっていない 命を守るため「流域」を確認せよ
・中国・四川省で豪雨、住民2万1000人が避難 全土に警報
・洪水でクモ大量出現、世界で最も危険な殺人グモも:シドニー


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB議長、QT停止の可能性示唆 「数カ月以内」に

ビジネス

トランプ氏、中国との食用油取引打ち切り検討

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、米中通商懸念が再燃

ビジネス

米ボストン連銀総裁、追加利下げ支持を再表明 雇用リ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道されない、被害の状況と実態
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    【クイズ】アメリカで最も「死亡者」が多く、「給与…
  • 5
    「中国に待ち伏せされた!」レアアース規制にトラン…
  • 6
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 7
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 8
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 10
    あなたは何型に当てはまる?「5つの睡眠タイプ」で記…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中