最新記事

ワクチン

さすがの米保守派もワクチン否定から推奨に転換、その理由は?

Anthony Fauci Lauds Republicans for Recent Support of COVID Vaccines: 'Very Heartened'

2021年7月27日(火)18時07分
トーマス・キカ
ファウチ

ワクチン接種済みでもマスクをしてほしいと言うファウチ Stefani Reynolds/REUTERS

<ワクチンの安全性に対する疑惑やバイデン政権への反発などからワクチン接種を拒み続けてきた共和党支持者も、これで態度を変えるか?>

このところ、米共和党議員や保守派メディアの司会者がワクチン否定派から転向し、ワクチン接種を呼びかけるケースが目立っている。ジョー・バイデン大統領の首席医療顧問として新型コロナウイルス感染症対策にあたるアンソニー・ファウチ博士はこの傾向を歓迎する。

7月25日にCNNの番組「ステート・オブ・ザ・ユニオン」に出演したファウチは、共和党の政治家の一部がワクチン接種の呼びかけるようになったことを喜んでいると語った。具体的には、フロリダ州のロン・デサンティス知事、アーカンソー州のエイサ・ハッチンソン知事、ルイジアナ州のスティーブ・スカリス下院議員らの名を挙げた。

ファウチは、番組の司会を務めるジェイク・タッパーに対し、ルイジアナ州下院議員でドナルド・トランプ前大統領の盟友である「スティーブ・スカリスのような政治家が、公の場で『われわれはワクチンを接種する必要がある』と発言していると聞き、とても勇気づけられた」と語った。スカリスは何カ月もワクチン接種を引き延ばしていたが、最近第1回目を接種した。同じく保守派のフロリダ州のデサンティス知事も今では同じことを言っている。「接種を受けていない人たちに対して影響力のある人々が、もっと表に出てワクチン接種を促し、コミュニティの信頼できるメッセンジャーとなる必要がある」と、ファウチは言う。

死者の99%はワクチン未接種者

共和党保守派の方針転換の背景は、新型コロナ感染者が最近、全米で急増していることがある。専門家は感染急増の原因として、米国のワクチン接種スピードの停滞、とりわけ保守派のあいだでの接種の遅れと、デルタ株など感染力の強い変異株の出現を指摘している。ファウチも、6月に新型コロナで死亡した人の99%はワクチン未接種者だったと発言していた。

感染者の急増を受けて、ワクチン接種済みの人にもマスク着用を再度義務づけるか否かについて、米疾病予防管理センター(CDC)と活発な議論をおこなっている、とファウチは言った。また、CDCの現行ガイドラインには柔軟性があり、地方自治体が感染者増加に対応して独自にマスク着用を義務づけることができる、とも語った。

「(地方当局には)そうした権限や裁量があることを、CDCは同意している」とファウチは語った。「感染の勢いが著しい場合は、ワクチン接種済みであったとしてもマスクを着用するべきだ。それは各地域で決めることでだ」

一部の州では、医療従事者などにワクチン接種を義務化する動きも出てきている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中