最新記事

会見拒否問題

全仏棄権の大坂なおみに選手がエール「私たちの世代はオープンになり過ぎている」

Naomi Osaka Gets Support From Grand Slam Leaders Days After She's Threatened With Suspension

2021年6月2日(水)17時59分
メアリー・エレン・カナソーラ
大坂なおみ

テニスさえ強ければいいのではないのか? Christian Hartmann-REUTERS

<メディアの前に出るのは慣れっこの選手も多いが、そうでない選手もいる。大坂なおみのように大きなプレッシャーを背負う選手はよほど辛いはずだと、テニス選手から共感の声>

テニス界のスター、大坂なおみは5月31日、全仏オープンを棄権すると発表した。この突然の決断はその後、四大大会(グランドスラム)を主催する各協会が選手のメンタルヘルス問題に取り組む動きへと発展している。

四大大会の主催者は6月1日、連名で選手のメンタルヘルス問題を支援する旨の声明を発表した。彼らは2日前の30日、記者会見に出席しなかった大坂に対し、失格、さらには今後の四大大会への出場停止処分もあり得るとの警告を発したのと同じ人々だ。大坂は、自身が不安やうつといった心の問題に苦しんでいたことを明らかにした。

会見前は「大きな不安」

世界ランキング2位の大坂は30日、ローラン・ギャロスで開催されている全仏オープン1回戦で勝利したが、試合後の記者会見を予告どおり拒否したため1万5000ドルの罰金を科された。翌31日、大坂は大会を棄権すると表明。世界の主要なメディアとの会見の前にはいつも「大きな不安の波」に襲われていたし、2018年の全米オープン以降の「長い間、うつ状態に悩まされてきた」と告白した。「もともと人前で話すのは得意ではなかった」とも言う。

日本生まれの23歳で、幼いころに家族とともに米国に渡った大坂は、「今は少しの間、コートから離れるが、適切な時期が来れば、ツアーと共に、選手、メディア、そしてファンのために、状況を改善する方法について話をしたいと心から思っている」と述べた。

以下は、APのリポートだ。

プロテニス選手は、主催者から要請があった場合には記者会見に出席する義務がある。四大大会の規約は、選手が会見に欠席した場合、最高で2万ドルの罰金を科すことができると定めている。

全仏オープン、ウィンブルドン(全英)選手権、全米オープン、全豪オープンの主催者が6月1日に発表した声明には、「四大大会を代表して、我々は大坂なおみが一時的にコートを離れている間、可能であればどんな形でも、サポートと支援を提供したいと考えている。彼女はたぐいまれなアスリートであり、我々は彼女が、彼女自身が適切と判断したうえで、できるだけ早く競技に復帰することを期待している」と書かれている。

「メンタルヘルスは非常に困難な問題であり、我々としても最大限の注意を払う用意がある。これは複雑で人によって異なり、ある人にとって影響のある事柄が、他の人にも影響を与えるとは限らない。プレッシャーや不安を自身の言葉で明かしてくれたことについて、なおみを称賛する。テニス選手が直面するかもしれない特有のプレッシャーについて、我々は共感している」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 9
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 10
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中