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感染症対策

WHO、ドイツと韓国の感染抑制緩和を支持「第2波を強く警戒しながら慎重に」

2020年5月12日(火)13時13分

世界保健機関(WHO)は11日、新型コロナウイルス感染拡大抑制策の緩和には、感染拡大の第2波に対する「強い警戒」が必要になるとの考えを示した。ジュネーブで2月撮影(2020年 ロイター/Denis Balibouse)

世界保健機関(WHO)は11日、新型コロナウイルス感染拡大抑制策の緩和には、感染拡大の第2波に対する「強い警戒」が必要になるとの考えを示した。

感染拡大抑制を緩和した国では、ドイツで1人の感染者が何人に感染を広げるかを示す「再生産数」が1.1に上昇したほか、韓国では首都ソウルで新たなクラスター(感染者の集団)が発生した可能性が指摘されるなどしている。

こうした中、WHOで緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏はテレビ会議形式で実施された記者会見で、「ロックダウン(都市封鎖)措置の緩和に多くの国が動き始め、希望が見え始めている」としながらも、「極めて強く警戒する必要がある」と述べた。

その上で、ドイツと韓国は新たな感染を抑制できるとみているとし、感染の第2波防止に向けて重要とする監視体制について両国の対応を支持。対照的に「目を閉じたまま抑制策を緩和している国もある」と警告した。ただ具体的な国名は挙げなかった。

WHOのテドロス事務局長は、感染拡大抑制策の緩和は「複雑で困難」な作業になるとし、「ゆっくりと、安定的に解除していくことが肝要」と指摘。「ワクチンが開発されるまで、新型ウイルス対応では包括的な措置の実施が最も有効になる」と述べた。

WHOの感染症専門家マリア・ファンケルクホーフェ氏は「これまでのところ、新型ウイルスに対する抗体を持つ人の割合は低いことが示されている」と指摘。ライアン氏は、集団免疫の獲得で新型ウイルスの感染拡大が食い止められると見越して緩やかな措置を取っている国に対し「極めて危険な対応」と警告した。

[ジュネーブ ロイター]


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