最新記事

事件

韓国訪問中に消えた9人のベトナム外交団員 公安当局が捜索要請

2019年10月17日(木)20時15分
チュック・グェン(フリーライター)

本当に「単に同行した企業幹部」だったのか?

共産党の1党支配という政治体制のベトナムでは一般労働者などがよりよい収入を求めて渡航先の海外で失踪するケースはあるものの、今回のような国会代表団のような外交使節の参加者が一度に複数名行方不明となる事件は珍しいという。

今回の失踪事件について韓国のメディアは、「不法滞在を目的にブローカーを通じて代表団の一行に加わったものとみられる」と報じている。しかし、今回身柄を拘束されてベトナムに戻った2人を含む9人は社会的地位も高く、裕福とされており、なぜ韓国で失踪したのかその動機は謎とされている。

10月2日に記者会見した計画投資省のグエン・デユク・チェン副大臣は、身柄を確保している2人の失踪者の氏名に関して「ベトナムと韓国両国の当局による調査が現在も進んでいる最中であることから現時点では公表できない」と非公開の理由を説明した。

ベトナムの社会情勢に詳しい者によると、同国政府の専用機を利用できるのは共産党総書記、国家主席、首相、国会議長などのごく一部のVIPとその随行員、同行者に限られるという。また、共産党中央局、大統領官邸、国会、政府各省庁からの要請があれば利用が許可されることがあるといい、失踪した9人が政府側の「単に同行した企業幹部」という説明にも疑問が示されている。

しかし官製報道機関しか公的存在を許されないベトナムでは、政府発表以外の報道は極めて限られることから、事件の発覚も発生から約10カ月後に韓国での報道を受ける形であり、失踪者の身元や動機などに関する続報も制限されているため明らかになっていない。いずれにせよ、ベトナム政府、公安当局にとっては都合の悪い事案であることだけは間違いないといえるだろう。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アフリカで船舶燃料補給需要が急増 中東情勢に伴う喜

ビジネス

ヘッジファンド、米国株ショート・欧州株ロング=ゴー

ワールド

肺炎で集中治療のブラジル前大統領、一般病棟に 退院

ビジネス

予備費8000億円、燃料補助金基金に繰り入れ=城内
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 2
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」した──イスラエル首相
  • 3
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 4
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に…
  • 5
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 6
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 7
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 8
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中