最新記事

アメリカ政治

バー米司法長官「情報当局がトランプ陣営にスパイ行為」 調査の示唆に民主党が反発

2019年4月11日(木)13時13分

バー米司法長官(写真)は開かれた議会の公聴会で、米情報当局がトランプ大統領の2016年大統領選での活動について違法な「スパイ行為」を働かなかったかどうかについて調査する考えを示した。写真はワシントンで撮影(2019年 ロイター/Erin Scott)

バー米司法長官は10日に開かれた議会の公聴会で、米情報当局がトランプ大統領の2016年大統領選での活動について違法な「スパイ行為」を働かなかったかどうかについて調査する考えを示した。野党・民主党の議員らはこの発言は陰謀説を流布していると批判した。

米大統領選へのロシア介入疑惑に関する連邦当局の捜査については、トランプ大統領や大統領に近い共和党の議員らもバー長官と同様の見解を示してきた。捜査を率いたモラー特別検察官や法執行および情報収集の各政府機関の評判を落とす狙いがあるとみられる。

バー長官は上院歳出委員会の小委員会で行われた公聴会で、ロシア疑惑捜査で米情報機関がどのように振る舞ったかについてさらに調査する必要性を感じていると述べ、「選挙陣営へのスパイ行為は大問題だからだ」と説明。

民主党議員にスパイ行為があったと述べているのか問われると「スパイ行為はあったと思う」と回答。「問題は、十分な根拠があったかどうかで、十分な根拠はなかったと述べているわけではない」と語った。

別の民主党議員が「スパイ行為」という言葉は「不必要に扇動的」だと指摘すると、バー氏は「権限を越えた監視がなかったことを確認したい」と言い直した。

同氏は、16年大統領選でトランプ陣営を対象にした情報収集活動を全て調査すると表明。連邦捜査局(FBI)に的を絞ったものではないと付け加えた。

バー氏はまた、議員らの厳しい追及に対し、不正の証拠はないと認めた。

上院民主党のシューマー院内総務はツイッターへの投稿で、バー氏は発言を撤回すべきだと主張。「陰謀説の流布は司法長官という職の品位を落とす行為」と批判した。

トランプ大統領は先に、ロシア疑惑捜査は「クーデター未遂」、「国家への反逆」と呼んで批判をさらに強めた。大統領は記者団に対し「捜査は違法に始まった」と述べ、「すべてが不正だった」とした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 非婚化する世界
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月17日号(6月10日発売)は「非婚化する世界」特集。非婚化と少子化の波がアメリカやヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ

ワールド

イスラエル、イランガス田にも攻撃 応酬続く 米・イ

ワールド

米首都で34年ぶり軍事パレード、トランプ氏誕生日 

ワールド

米ミネソタで州議員が銃撃受け死亡、容疑者逃走中 知
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    メーガン妃の「下品なダンス」炎上で「王室イメージ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 7
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中