1988年以降死刑執行のないミャンマー
死刑判決は判決から1週間以内、懲役刑は判決から60日以内に控訴することが可能だが、被告弁護側は「被告側はこれまでのところ控訴の予定はなく、あとは被告家族次第である」としている。というのもミャンマーでは1998年に執行された死刑(絞首刑)を最後に執行例は報告されておらず、あくまで象徴的な極刑の側面が強いから、といわれている。
こうした「形式的だけの死刑判決」「事件を主導したとされる容疑者の逃走」「被告に元軍人が含まれている」などから、人権団体などは暗殺事件への軍の関与とその後の裁判への軍の影響を指摘する声も出ている。
コー・ニー氏の息子タン・ジン・オー氏は判決後「被告らにはまだ控訴の機会もあり、今後の経緯を見極めたい」と判決そのものへのコメントを避けた。
国際的な人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」(本拠地ニューヨーク)のアジア担当フィル・ロバートソン氏はメディアに対して「ミャンマー政府は主犯格とされるカイン容疑者の発見逮捕に全力を尽くすべきである。カイン容疑者が自由の身でいる限り、この事件に対する正義が実行されたとは言えないからだ」と述べている。
コー・ニー氏はNLDの法律顧問を務め、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問兼外相とも親しかったこともあり、スー・チー顧問は同氏暗殺事件の真相解明を強く求めていたといわれている。
そうした背景があっても今回の判決が示すように、全面的な真相解明には至っていないということが、ミャンマー国内でのスー・チー顧問と軍のパワーバランスが依然として微妙な関係にあることを浮き彫りにしている、との見方が有力だ。
