最新記事

日本企業

仮想通貨業者の新団体、ブロックチェーン企業は未加入 自主規制は可能か?

2018年3月3日(土)13時35分

3月2日、日本仮想通貨事業者協会と日本ブロックチェーン協会は、協会の見解の違いを乗り越え、登録済みの仮想通貨取引所16社による新団体結成にこぎつけた。2015年8月撮影(2018年 ロイター/Sigtryggur Ari)

日本仮想通貨事業者協会(会長=奥山泰全・マネーパートナーズ代表取締役)と日本ブロックチェーン協会(代表理事=加納裕三・bitFlyer代表取締役)は、協会の見解の違いを乗り越え、登録済みの仮想通貨取引所16社による新団体結成にこぎつけた。

しかし、テクノロジーに精通したブロックチェーン協会所属のブロックチェーン企業は新団体には含まれず、自主規制ルールに最新技術を生かす方策などで課題が残る。

ブロックチェーン部門は「分離」

新団体は「しこり」を残しての出発となる。新団体は、金融庁に登録済みの仮想通貨取引所16社が先行して結成、ブロックチェーン協会の「ブロックチェーン部門」に属する35社は含まれないからだ。

ブロックチェーン協会と仮想通貨事業者協会は、コインチェック事件の前から統合に向けて協議を進めてきたものの、合意には至らなかった。

対立点の1つとみられているのが、最新テクノロジーをめぐる両協会のスタンスの違いだ。

ブロックチェーン協会が「仮想通貨部門」とブロックチェーン部門で構成し、ブロックチェーン技術の社会インフラへの応用や政策提言を協会設立の第1の目的とするのに対し、仮想通貨事業者協会の会員は仮想通貨取引所で構成される。

関係者によると、仮想通貨事業者協会は、技術面でブロックチェーン協会、インフォテリアの平野洋一郎代表取締役が代表理事を務める「ブロックチェーン推進協会」双方と連携する方向で検討したが、ブロックチェーン協会は難色を示していたもようだ。

会見で加納氏は、業界の結束を優先し、ブロックチェーン協会のブロックチェーン部門は「いったん切り分けて考えるべき」と述べたが、同協会の関係者は「将来的にはブロックチェーン部門も新団体に合流すべきだ」と話している。

奥山氏は「広く技術的な知見を集めていけるような団体になっていきたい」と指摘。先進技術を反映した自主規制ルールをいかにつくるかが、今後の焦点になる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結

ワールド

英、中東に戦闘機を移動 地域の安全保障支援へ=スタ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されずに「信頼できない人」を見抜く方法
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 7
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中