最新記事

税制

EU、グーグルなどネット大手へ増税か タックスヘイブン対策も検討

2017年9月22日(金)16時14分

9月21日、欧州連合(EU)欧州委員会は、大手インターネット企業への課税引き上げに向けた税制改革を実施する可能性があることを明らかにした。写真はフランスのボルドーで昨年8月撮影(2017年 ロイター/Regis Duvignau)

欧州連合(EU)欧州委員会は21日、大手インターネット企業への課税引き上げに向けた税制改革を実施する可能性があることを明らかにした。他の先進国が同意しなくとも増税を進める考えで、米国などの反発を招く恐れがある。

EUは、米アルファベット 傘下のグーグルなどネット大手に対する公正な課税制度に関して先進国間の見解がまとまらない状況が続いていることに不満を抱いている。こういった企業の欧州での平均課税額は他業種の半分以下となっている。

欧州委員は、EU内あるいは複数のEU加盟国間で速やかな合意が可能とみられる3つの案を提示。ネット企業の課税ベースを利益から売上高に変更する、あるいはネット広告を課税対象にする、またはネット企業に支払われる代金に源泉徴収税を課すという内容となっている。

長期的には、特定の国で広範に事業を展開しているが物理的な事業所などがない場合でも、税率の低い国などに利益を移転することなく事業を行っている国で課税できる仕組みづくりを目指している。

EUはこのような課税制度について、米国や日本などを含む経済協力開発機構(OECD)加盟国間で合意することが望ましいと考えている。

ただ、欧州委のドムブロフスキス副委員長は記者会見で「国際的に進展がなくても、EUは行動するための準備を整える必要がある」と強調。関連法案は来春公表する可能性があると述べた。

EU加盟28カ国はまず、12月までに合意をまとめる必要があるが、一部の諸国はすでに反対を表明している。

欧州委はまた、税率の低いルクセンブルクやアイルランドがネット大手への増税を阻止することがないよう、EU条約の1つの条項に基づいて税制問題に関する加盟国の拒否権を無効にする可能性についても検討している。

[ブリュッセル 21日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=まちまち、FOMC受け不安定な展開

ワールド

英、パレスチナ国家承認へ トランプ氏の訪英後の今週

ビジネス

NY外為市場=ドル下落後切り返す、FOMC受け荒い

ビジネス

FRB0.25%利下げ、6会合ぶり 雇用にらみ年内
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中