最新記事

環境問題

トランプ次期大統領、1年でパリ協定脱退可能 専門家が指摘

2016年11月11日(金)11時02分

11月10日、米大統領選に勝利したトランプ氏(左)は、合法的な近道を使って1年以内に地球温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」から脱退することが可能だとの見方が法律専門家の間で出ている。ワシントンで撮影(2016年 ロイター/Joshua Roberts)

 米大統領選に勝利したトランプ氏は、合法的な近道を使って1年以内に地球温暖化対策の新たな枠組み「パリ協定」から脱退することが可能だとの見方が法律専門家の間で出ている。理論的に4年かかるとされる手続きを回避し、選挙戦で掲げたパリ協定脱退の公約を守ることができるという。

 トランプ氏は地球温暖化について、米国の製造業の競争力を弱めるために中国がつくり出したでっち上げだと述べ、昨年合意され、今年11月4日に約200カ国で発効したパリ協定からの脱退を主張してきた。

 化石燃料の使用に伴う温室効果ガスの排出を今世紀中になくすことを目指すパリ協定は第28条で、脱退を希望する締約国は4年間の待機期間を経る必要があると規定している。

 論理的には、どんなに早くても次の米大統領選の時期と重なる2020年11月4日までは脱退できないことになる。しかし、国連の法律専門家によると、パリ協定の親条約である1992年の気候変動枠組み条約からは1年前の通知で脱退が可能で、米国はパリ協定の批准も無効にできるという。

 気候変動枠組み条約は共和党のブッシュ元大統領が1992年に署名し、米上院が承認しており、脱退となれば論争となるだろう。多くの国との外交関係を緊張させることにもなる。

[マラケッシュ(モロッコ) 10日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

政府、25・26年度の成長率見通し上方修正 政策効

ビジネス

フジHD、株式買い増しはTOBでと旧村上系から通知

ワールド

北京市、住宅購入規制さらに緩和 需要喚起へ

ビジネス

26年度の超長期国債17年ぶり水準に減額、10年債
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中