最新記事

教育

激変する「成績が良い」の基準──世界に遅れていた日本の初等中等教育が変わる

2022年8月15日(月)13時02分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

「先生が教える」という考えはもう古い

新しい教育の何が「大改革」なのかといえば、明治維新以来150年続いてきた、「先生が一方的に何かを教える」という教育のありかたが、変わってしまうということです。

たとえば「分数の割り算をどうやるか」。従来は、先生が子どもたちに「割る数の分母と分子をひっくり返して掛ける」と一方的に教えていました。

しかしこれからは、「分数の割り算をどうやるか」について、子どもたちが次の授業までに考え、スライドショーにまとめて、クラスで発表する。それから皆でディスカッションして、正しいやりかたにたどり着く。そんな流れの授業が、だんだん定着していくものと期待されています。

すでに世界の初等中等教育では行われている、先生が教えるのではなく生徒が教える「反転授業」、スライドショーでプレゼンして、それを皆でディスカッションして、正しいやりかたにたどり着く「アクティヴ・ラーニング」が、当たり前のように日本の小学校、中学校でも行われるようになっていくわけです。

これはじつはものすごい変化です。明治維新以後150年間、学校教育は先生が「自分が習ったこと」を生徒たちに教え、それを生徒たちが次の世代に引き継いでいくという形で教育が行われてきました。

いまの先生は、自分が生徒だったときに習ったことを、同じようにあなたのお子さんに教えています。その先生が子どものときに教わった先生も、やっぱり子どものときに自分の先生から教わったときと同じようにやってきました。

だから、もし明治時代の先生を現代にタイムスリップさせ、「こういうことを教えてほしい」とお願いしても、ごく普通に、2020年代のいまでも先生ができてしまいます。当時との違いと言えば、黒板の色が変わって、さらには電子化されて便利になったということくらいです。あとは「最近の親は何かとうるさいから、生徒の扱いには注意してね」とアドバイスするくらいでしょうか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ベトナム株式市場が上昇、次期共産党指導部候補選定を

ワールド

欧州新車販売、5カ月連続増 EVがけん引

ワールド

ロシアの穀物輸出停滞、原因は世界的な価格低迷と副首

ビジネス

歳出最大122.3兆円で最終調整、新規国債は29.
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 5
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 10
    楽しい自撮り動画から一転...女性が「凶暴な大型動物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中