2026年、銘柄選定で重要なのは「暴落を避ける」こと...AIが引き潮要因に
写真はニューヨーク証券取引所(NYSE)。2月11日、ニューヨークで撮影。REUTERS/Brendan McDermid
投資家たちは人工知能(AI)の展望が株式にとって単なる肥沃な土地でなく地雷原であることにも気付きつつある。
AIの収益性を巡る熱狂ぶりはデータセンター建設や関連インフラに結び付いたテクノロジー企業やその他の企業の株価上昇によって米国の強気相場をけん引してきた。多くの投資家はまた企業が生産性向上の恩恵を享受し、AIが広範に利益を押し上げ始めるのは2026年になると指摘していた。
しかし、AIの技術は既存の事業を破壊する可能性があるとの懸念が最近生じたためソフトウエア、法的サービス、資産運用を含めた業界を揺るがしており、投資家がこれらの企業の価値評価を再考し始めている。
莫大なAI関連の設備投資に対する疑問がアマゾンやマイクロソフトを含めた世界最大級企業の一部の株価を圧迫している。
ナティキシス・インベストメント・マネジャーズ・ソリューションズのポートフォリオ・ストラテジストのギャレット・メルソン氏は「AIトレードが一枚岩だった時期は明らかに終わった」と言及。その上で「市場がどのようにAI競争の勝者と敗者を見極めようとしているかによって、指数の寄与度がより大きい銘柄で激しい綱引きが起きている」と解説した。
26年に入ってAI新興企業アンソロピックがエージェント機能「クロード・コワーク」向けのプラグインを発表しソフトウエア株の売りを呼んだ。S&P総合500種のソフトウエア・サービス指数は1月末から11日までに15%下落している。
また、10日には資産運用スタートアップのアルトルイストがAIを活用した税務計画機能を導入し、LPLフィナンシャル、レイモンド・ジェームズ、チャールズ・シュワブといった米証券各社の株価がそれぞれ少なくとも7%急落した。オンライン保険プラットフォームのインシュリファイはチャットGPTベースのAI比較ツールを発表し、ウィリス・タワーズ・ワトソンやアーサー・J・ギャラガーのような保険ブローカーの株価が今週落ち込んだ。
<ソフトウエア株は割安だが不透明感>
今回の強気相場を象徴する銘柄のいくつかもまた今年、巨額の設備投資に見合うだけの十分な収益が得られないのではないかという懸念から苦戦を強いられている。ソフトウエア分野を巡る懸念に巻き込まれたマイクロソフトの株価は今年16%下落し、アマゾンの株価も11%以上下落している。
PNCフィナンシャル・サービス・グループのチーフ投資ストラテジストのヤン・ユー・マ氏は「あまりに多額の資金を投じすぎているという懸念は(中略)依然として未解決の疑問だと思う」としつつ、「設備投資に対する否定的な見方は今後和らぐだろう」と付け加えた。
企業の価値評価がこれまでよりも魅力的になったとして買い場だと感じる投資家もいる。たとえば、LSEGデータストリームによると、ソフトウエア・サービス指数の予想株価収益率は最近22.7倍まで低下しほぼ3年ぶりの低い水準となった。
JPモルガン・チェースの株式ストラテジストは10日、高品質で「AI耐性のある」ソフトウエア企業のひとまとまりに対する投資を推奨し「リスクのバランスは反発寄りに傾きつつある」と考えているとの見方を示した。
トゥルイスト・アドバイザリー・サービスのチーフ投資責任者のキース・ラーナー氏は「課題は今やAIが急速に進化していることだ。業績は依然として好調だが企業はAIに対する見方が間違っていると証明するのは難しい」と語った。
<「暴落」を避けるのが鍵>
AIトレードは25年の大半、ハイテク株と関連株を幅広く押し上げS&P総合500種は3年連続で2桁のプラスの運用成績を記録した。
強気の投資家はS&P総合500種の収益が14%以上増加し米連邦準備理事会(FRB)がさらに利下げするという明るい見通しを持って26年を迎えた。S&P総合500種は年初から1%以上上昇し史上最高値に近い水準にあり、出遅れたハイテク部門を他の分野が補っている。
しかし、AI主導の価格変動の激しさが複雑さを加えている。ジョーンズトレーディングのチーフ市場ストラテジストのマイケル・オルーク氏によると、年初から下落しているS&P総合500種構成銘柄の平均下落率は10日時点で10.6%になるという。これは昨年の同じ時点で下落していた銘柄の平均下落率の5.9%を大幅に上回る。
オルーク氏は注意書きで「26年はより控えめに投資し銘柄選定で重要なのは暴落を避けることだ」と指摘した。
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