最新記事
AI

2026年、銘柄選定で重要なのは「暴落を避ける」こと...AIが引き潮要因に

2026年2月13日(金)13時00分
写真はニューヨーク証券取引所(NYSE)。2月11日、ニューヨークで撮影。REUTERS/Brendan McDermid

写真はニューヨーク証券取引所(NYSE)。2月11日、ニューヨークで撮影。REUTERS/Brendan McDermid

投資家たちは人工知能‌(AI)の展望が株式にとって単なる肥沃な土地でなく地雷原であることにも気付きつ​つある。

AIの収益性を巡る熱狂ぶりはデータセンター建設や関連インフラに結び付いたテクノロジー企業やその他の企業の株価上昇によって米国の強気相場を⁠けん引してきた。多くの投資家はまた企業が​生産性向上の恩恵を享受し、AIが広範に利益を押し上げ始めるのは2026年になると指摘していた。

しかし、AIの技術は既存の事業を破壊する可能性があるとの懸念が最近生じたためソフトウエア、法的サービス、資産運用を含めた業界を揺るがしており、投資家がこれらの企業の価値評価を再考し始めている。

莫大なAI関連の設備投資に対する疑問がアマゾンやマイクロソフトを含めた世界最大級企業の一部の株価を⁠圧迫している。

ナティキシス・インベストメント・マネジャーズ・ソリューションズのポートフォリオ・ストラテジストのギャレット・メルソン氏は「AIトレードが一枚岩だった時期は明らかに終わった」と言及。その上⁠で「市場が​どのようにAI競争の勝者と敗者を見極めようとしているかによって、指数の寄与度がより大きい銘柄で激しい綱引きが起きている」と解説した。

26年に入ってAI新興企業アンソロピックがエージェント機能「クロード・コワーク」向けのプラグインを発表しソフトウエア株の売りを呼んだ。S&P総合500種のソフトウエア・サービス指数は1月末から11日までに15%下落している。

また、10日には資産運用スタートアップのアルトルイストがAIを活用した税務計画機能を導入し、LPLフィナンシャル、レイモンド・ジェームズ、チャールズ・シュワブといった米証券各社の株価が⁠それぞれ少なくとも7%急落した。オンライン保険プラットフォームのインシュリファイはチャットGPT‌ベースのAI比較ツールを発表し、ウィリス・タワーズ・ワトソンやアーサー・J・ギャラガーのような保険ブローカーの株価が⁠今週落ち⁠込んだ。

<ソフトウエア株は割安だが不透明感>

今回の強気相場を象徴する銘柄のいくつかもまた今年、巨額の設備投資に見合うだけの十分な収益が得られないのではないかという懸念から苦戦を強いられている。ソフトウエア分野を巡る懸念に巻き込まれたマイクロソフトの株価は今年16%下落し、アマゾンの株価も11%以上下落している。

PNCフィナンシャル・サービス・グループのチーフ投資ストラテジストのヤン・ユー・マ氏は「あまりに多額の資金‌を投じすぎているという懸念は(中略)依然として未解決の疑問だと思う」としつつ、「設備投資に対する否定的​な見方は今‌後和らぐだろう」と付け加えた。

企業の⁠価値評価がこれまでよりも魅力的になったとして買い場だと​感じる投資家もいる。たとえば、LSEGデータストリームによると、ソフトウエア・サービス指数の予想株価収益率は最近22.7倍まで低下しほぼ3年ぶりの低い水準となった。

JPモルガン・チェースの株式ストラテジストは10日、高品質で「AI耐性のある」ソフトウエア企業のひとまとまりに対する投資を推奨し「リスクのバランスは反発寄りに傾きつつある」と考えているとの見方を示した。

トゥルイスト・アドバイザリー・サービスのチーフ投資責任者のキース・ラーナー氏‌は「課題は今やAIが急速に進化していることだ。業績は依然として好調だが企業はAIに対する見方が間違っていると証明するのは難しい」と語った。

<「暴落」を避けるのが鍵>

AIトレードは25年の大半、ハイテク株と関連株を幅広​く押し上げS&P総合500種は3年連続で2桁のプラスの運用成績を記録し⁠た。

強気の投資家はS&P総合500種の収益が14%以上増加し米連邦準備理事会(FRB)がさらに利下げするという明るい見通しを持って26年を迎えた。S&P総合500種は年初から1%以上上昇し史上最高値に近い水準にあり、出遅れたハイテク部門を他の分野が補っている。

しかし、AI主導の​価格変動の激しさが複雑さを加えている。ジョーンズトレーディングのチーフ市場ストラテジストのマイケル・オルーク氏によると、年初から下落しているS&P総合500種構成銘柄の平均下落率は10日時点で10.6%になるという。これは昨年の同じ時点で下落していた銘柄の平均下落率の5.9%を大幅に上回る。

オルーク氏は注意書きで「26年はより控えめに投資し銘柄選定で重要なのは暴落を避けることだ」と指摘した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2026トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 BTS再始動
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年4月7号(3月31日発売)は「日本企業に迫る サステナビリティ新基準」特集。国際基準の情報開示や多様な認証制度――本当の「持続可能性」が問われる時代へ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


地方自治体
人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に安心な水にアクセスできる社会の実現へ
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米国防長官、陸軍参謀総長を解任=関係筋

ワールド

ゼレンスキー氏、ホルムズ海峡巡りウクライナの専門知

ワールド

ハマス、イスラエルのガザ全面撤退保証なしの武装解除

ワールド

米国務長官、中国のパナマ船拿捕に懸念表明
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 2
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受給年齢」
  • 3
    破産申請の理由の4割以上が「関税コスト」...トランプ関税が米国民に与える「破産」の苦しみ
  • 4
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 5
    血圧やコレステロール値より重要?死亡リスクを予測…
  • 6
    日本の男女の賃金格差は世界でも突出して大きい
  • 7
    人口減の自治体を救う「小さな浄水場」──誰もが常に…
  • 8
    先進国が出生数の減少を嘆く必要はない? 「経済的…
  • 9
    「一般市民に敵意なし」...イラン大統領が米国民宛て…
  • 10
    200年前の沈没記録が裏付けられた...捕鯨船を海の藻…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 7
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 8
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 9
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中