医療を取り巻く社会的課題を解決に導く「精密データ」の力
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複数の生体情報を活用し、新たな知見の創出を可能に
これまでは幅広い用途で容易に長時間、高精度なデータを計測するデバイスがなく、医療・研究機関での高度なデータ解析や、アルゴリズム開発の実現が難しかった。この道をADI Study Watchは開くことができ、また新たな治療方法や創薬の開発、保険などの医療システムやサービスの開発につながる研究への利用が期待されている。
この端末を装着すると「脈波(脈拍数)」「皮膚発汗の変化」「身体の動き」「生体電位(心電波形)」「体組成(体脂肪率)」「体表温度」の計測が可能となる。例えば、発汗や脈拍数の変化、身体の動作状態、体表温度の変化などのパラメータを複合的に解析することにより、ストレスが加わっている状態か否か(副交感神経の活性または抑制状態)を検証することもできる。
「市販のウェアラブル端末でも同じような手法でストレスチェックが行われていますが、現時点でストレスの程度を判断するリファレンス(参照元となる指標)は存在しないため、それが正しいか、どれだけ正確なのかは分かりません。そんな現状において、ADI Study Watchで取得した未加工・未処理の『生データ』は、その検証に活用することができます」と、上村氏は話す。パラメータを複合的に解析し、それによって得られた情報をさらに組み合わせることで、未知の領域・分野で新たな知見が生み出される機会が無限に広がる......といったイメージと言えるだろう。
ADI Study Watchには、スマートフォン・タブレット用とパソコン用の2つのアプリがあり、屋内外を問わず、Bluetooth経由で生体情報を取得できる。また、送信されたデータをどう活用するか、ユーザー側でアプリやシステムの開発ができるように設計されている。例えば被験者の生体データの取得・解析を想定した場合、ユーザー側でアプリを開発し、アプリ経由でクラウドにデータを蓄積したうえで解析ツール(PythonTMやMatlab®など)を用いたデータ解析システムを構築することなども可能だ。この端末を含むプラットフォームそのものが、医療・研究機関の臨床や研究の支援を前提として作られているからこそだ。
「日本の医療を取り巻く社会問題の解決は、デジタルヘルス・エコシステムの構築をいかに加速させていくかに尽きます。そのためには医療価値のある新たな治療や研究、治療・診断システムやアルゴリズムの開発が、さまざまな医療・研究機関、企業で行われていく必要があります。専門知識やノウハウを有する医療・研究機関、もしくは医療ニーズに特化したソリューション開発に注力するスタートアップ企業と協業し、エコシステムの早期実現に努めていきたい」と上村氏は展望する。
また、医療・研究機関や企業と協力関係を深めることで、通常は見えにくい潜在的な医療ニーズをいち早くキャッチし、同社の技術やプラットフォームの進化に反映させることもできる。病院内でしか入手が困難だった精密データがどこでも手軽に取れるようになった今、日本の医療はどう変わるのか。ADIとパートナー機関・企業の「化学反応」に期待したい。