コラム

最悪の関係だった父親が......逝ってしまった

2016年05月10日(火)11時03分

新年にナースと外出 From Ian Willms @ianwillms

 パーソナルな問題を写真で表現することは、少し前までは、ファインアートの独断場だった。だが、ここ最近、多くのフォトジャーナリスト系の写真家が、そうした個人の内面に属する問題を意図的にドキュメンタリー・プロジェクトのメインテーマとして扱い始めている。トロントをベースにする30歳のカナダ人、イアン・ウィルムズもその1人だ。

 すでに自らの帰属性やアイデンティティーを、迫害と転住を余儀なくされた彼の祖先メノナイト(キリスト教の教派の1つ)のプロジェクトでカバーしてきが、インスタグラムでは、よりパーソナルな問題を前面に押し出している。2014年の11月、南アフリカでのモーターバイクの事故により、身体が麻痺して意識がなくなってしまった父親。その彼の元に駆けつけた時からの出来事と記憶を綴ったプロジェクトだ。

【参考記事】娘を撮り続ける「ファミリーフォトジャーナリズム」とは何か

 南アフリカでの出来事は、人生の中で父親ともっとも近づけた時、とウィルムズはいう。それまでの彼の人生は、子供時代は不幸な家庭とともにあった。母親は精神病とドラッグ中毒に苦しんできた。父親とも最悪の関係が事故のわずか2年ほど前まで続いていた、というのだ。それが事故を機に、父親への愛を認識したのだった。

His sense of humour.

Ian Willms / Boreal Collectiveさん(@ianwillms)が投稿した写真 -

父親のユーモアセンス

プロフィール

Q.サカマキ

写真家/ジャーナリスト。
1986年よりニューヨーク在住。80年代は主にアメリカの社会問題を、90年代前半からは精力的に世界各地の紛争地を取材。作品はタイム誌、ニューズウィーク誌を含む各国のメディアやアートギャラリー、美術館で発表され、世界報道写真賞や米海外特派員クラブ「オリヴィエール・リボット賞」など多数の国際的な賞を受賞。コロンビア大学院国際関係学修士修了。写真集に『戦争——WAR DNA』(小学館)、"Tompkins Square Park"(powerHouse Books)など。フォトエージェンシー、リダックス所属。
インスタグラムは@qsakamaki(フォロワー数約9万人)
http://www.qsakamaki.com

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

欧州ステランティス、下期201億ユーロの赤字 EV

ビジネス

独プーマ、今年も赤字継続と予想 配当中止

ビジネス

「日本の安定性」に魅力の外資系企業、63%で過去最

ビジネス

LSEG、40億ドルの自社株買い計画 エリオットが
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 4
    最高裁はなぜ「今回は」止めた?...トランプ関税を違…
  • 5
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 6
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 7
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 8
    【クイズ】サメによる襲撃事件が最も多い国はどこ?
  • 9
    2月末に西の空で起こる珍しい天体現象とは? 「チャ…
  • 10
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 6
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 7
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 8
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 9
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story