コラム

トランプの入国禁止令をめぐる違憲裁判は、この先どうなる?

2017年02月07日(火)15時40分

Brian Snyder-REUTERS

<入国禁止令の違憲論争は控訴審の判断を待つことに。事態は、トランプ政権が合衆国憲法を遵守しているかどうかという本質的議論に発展する可能性も>(写真:入国禁止令にはマサチューセッツ州やニューヨーク州も違憲を主張した)

先月28日に突如発令されたトランプ大統領の入国禁止令は大変な波紋を呼んでいます。何しろ「イスラム圏の7カ国からの入国はビザがあっても90日間は停止」そして「難民受け入れは120日間停止」というのですから衝撃的で、早速反対運動が各地の空港で発生しています。

これに対して、一部の連邦判事からは「違憲であるから無効」という裁定が出されており、本稿の時点では「入国禁止措置」は失効していて、ビザが有効であればこの7カ国(イラク、イラン、シリア、リビア、イエメン、スーダン、ソマリア)からの入国も可能になっています。

ですが、大統領とその周辺からのメッセージ発信は止まりません。「万が一何か(テロなど)あったら、判事の責任だ」などと相変わらずの暴言モードでのツイートがされ、現在は連邦控訴審(アピールズ・コート)へ、この大統領令の合憲・違憲の審査が持ち込まれた形になっています。

【参考記事】トランプ乱発「大統領令」とは? 日本人が知らない基礎知識

この控訴審ですが、今月7日から審理が本格化するのですが、現時点ではワシントン州とミネソタ州の「州のアトーニー・ジェネラル(司法長官兼検事総長)」が「大統領令は違憲」という立場を取り、これに対してホワイトハウスが異議を申し立てている、その判断は「連邦の第9巡回区控訴審」の法廷が下すという構図になってきました。

この法廷論争ですが、大統領令を「違憲告発」する州の検事総長側は、どうやら「入国する権利」や「ビザの有効性」といったテクニカルな論ではなく、今回の「大統領令の発動そのものが信教の自由を保証した憲法修正第一条違反」であるという論を立てて、正面からこの大統領令を「撃破する作戦」に出ているようです。

では、どうやって「信教の自由に対する挑戦」だということを立証するのかというと、2015年以来の選挙戦の中で、トランプ氏とその周辺が言い続けてきた「イスラム教徒の入国禁止」という公約に今回の大統領令の原型があるという立場から、その選挙戦を通じて発信されたコメントをすべて並べていって、その全体に宗教差別があり、その結果として出された大統領令は「従って違憲」だというロジックを立てるというのです。

プロフィール

冷泉彰彦

(れいぜい あきひこ)ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。

最新刊『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)が7月13日に発売。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

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