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フランス人と行く!四国お遍路

本当のゴールは、第八十八番札所ではなく、和歌山の高野山だった

2016年01月29日(金)11時16分

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高野山福智院の本堂内

[DAY 1-2] 日本唯一のNYタイムズ「行くべき場所」は、文化体験や人との交流が魅力 はこちら

[DAY 3-4]  どのお寺にもユニークな特徴があり、弘法大師ゆかりの逸話がある はこちら


DAY 5

お接待専用の建物、溢れんばかりの金剛杖......

[善通寺~高野山]

 4日目の最後に訪れた善通寺の宿坊「いろは会館」に泊まった私たち。善通寺の朝は、朝5時半頃、日が昇るよりも早く始まる。お勤めは、西院にあるテニスコートが3面は入るような大きな御影堂で。時折ろうそくの炎が揺らぎ、お坊さんたちの声だけが響き渡る。

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善通寺でお経を読み上げる僧侶たち

 空が明るくなるまで1時間弱、厳粛な世界を体験してから朝食となった。それほど早い時間にもかかわらず、お遍路さんが早速お参りにやって来ていたのは驚きだ。そして、昨晩に引き続き美味しい精進料理を食べてから、次の第八十五番札所である八栗寺(やくりじ)へと旅立つ。

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八栗寺へは駐車場からロープウェイで向かった

 八栗寺は、弘法大師が唐へ留学する前に願掛けで植えた、芽の出るはずのない焼き栗が帰国してみると芽吹いていた、という言い伝えから現在の形になったお寺だとされる。

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お寺と神社が同じ境内に隣り合って立つという、珍しい形式の八栗寺。正面が八栗寺本堂、左が神社

 八栗寺の入り口であるロープウェイ乗り場から少し歩いたところに、歩きお遍路さんには有名なお接待所がある。ここは茶室までついたお接待専用の建物で、所有者のご夫婦が毎日交代でお遍路さんを手厚く出迎えているという。

 私たちのようなグループが突然、大人数で訪ねてきても、嫌な顔ひとつせず、美味しい手作りゼリーやお茶などを振る舞ってくれた。Fさんはここのお接待所がとても気に入ったようで「また来ます」と話していたほど。彼女の書く記事でも取り上げられ、フランス人に広く知られることになるのではないだろうか。

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家でとれた柿や蜜柑、ゼリーなどをご馳走に

 その後、私たちは第八十六番札所である志度寺(しどじ)へと向かった。能楽の「海女」という作品の舞台になるなど、古くからあるお寺だ。その歴史は7世紀ごろまで遡るという。石庭や大きな日本庭園などもあって、実際に時間の流れを直に感じることができる。

 そして次は、四国八十八霊場、お遍路のゴール地点である第八十八番札所の大窪寺(おおくぼじ)だ。大窪寺は、唐から戻った弘法大師が修行した地でもある。やはり旅の区切り地点だからか、お遍路さんは皆、表情が明るく、足どりも軽いように見えた。

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大窪寺境内

プロフィール

山崎勇歩

ライター、デザイナー。1987年千葉生まれ。武蔵野美術大学卒。外資系広告代理店でのクリエイティブ職を経て、現在に至る。

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