コラム

次の最高指導者によってイラン戦争の行方は変わる...イランが進むのは穏健路線か、強硬路線か

2026年03月04日(水)17時10分
燃やされるハメネイの写真

ハメネイ亡き後のイランでは、跡目争いの火種が燻っている pcruciatti-shutterstock

<トランプは穏健派による統治を望んでいるようだが>

[ロンドン発]ドナルド・トランプ米大統領は3月3日、イラン情勢について「最悪のケースを想定するなら、これをやり遂げた後に前の人間と同じくらいひどい誰かが権力を継承することだ。それは起こりうることだ。われわれはそれを望んでいない」と述べた。

【動画】ハメネイの後継者は誰だ?

「最悪の事態はこれだけやっておいて5年後に結局前任者と変わらない人間を据えてしまったと気づくことだ。(権力を)国民に返すような誰かがそこに就くことを見届けたいと思っている」。トランプ氏はベネズエラ介入と同じように体制穏健派への首のすげ替えを期待している。


「われわれが想定していた人々はほとんど亡くなっている。最初のグループから何人かを想定に入れていたが彼らはすでに亡くなっている。そして今、別のグループを想定に入れている。報道によると彼らも亡くなっている可能性がある。つまり三番目の選択肢になるということだ」

米国に亡命中のパーレビ元皇太子は否定

イラン最後の皇太子で現在、米国に亡命中のレザ・パーレビ氏(65)について「彼のような人もいるが、われわれはそれについてあまり考えていない。内部から誰かを選ぶ方がもしかしたら、もっと適切なのかもしれない」と改めて懐疑的な見方を示した。

「彼(パーレビ元皇太子)はとても良い人のように見えるが、もしそのような人がいるとすれば今、人気のある人を選ぶべきだと思う。われわれにはそういう人たちがいる。もっと穏健派の人たちもいる」と述べた。トランプ氏の念頭にあるのはイラク戦争の失敗だ。

2003年のイラク戦争ではフセイン政権打倒後、公職に就いていたバース党員を追放。実務層の多くが党員だったため国家運営のノウハウを持つ人材が枯渇した。続くイラク軍・情報機関の解体で元兵士がイスラム武装勢力に流れ、権力の空白と混乱が広がった。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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