コラム

オリラジ藤森「コミュ力モンスター」の面目躍如

2021年03月05日(金)20時00分

「テレビを否定する」ビジネスモデル

そんな藤森が唯一、控えめながら苦言を呈しているのがテレビ業界であることは興味深い。彼はテレビを「ちょっと非効率で、才能の浪費をしているところがある」という。彼がインターネットの世界で成功したとして、その大きなアドバンテージになるのは、テレビで得た知名度にほかならないはずなのに。

今やインターネットはオルタナティブな空間ではない。有名人が参入すれば、注目を集める「マスメディア」の一部だ。テレビとネットで文法の違いはあるにしても、有名で、かつ売れている人の周りには人が集まってくる。中田のようにお金になりそうな事業を展開しているところに人は吸い寄せられる。コンテンツの質は関係ない。中身に関係なく「すごいことを言っている」と見ている人が思えば、お金に還元されるのがビジネスの現実だ。「すごい」と視聴者に思わせる土台は、明らかにテレビによって作られている。

自分を育てたテレビの遅れを指摘し、そこに固執する芸人とは違う自分を演出するというビジネスモデル。そこに藤森もしっかりと乗っている。コミュ力モンスターの面目躍如といったところか。

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プロフィール

石戸 諭

(いしど・さとる)
記者/ノンフィクションライター。1984年生まれ、東京都出身。立命館大学卒業後、毎日新聞などを経て2018 年に独立。本誌の特集「百田尚樹現象」で2020年の「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞」を、月刊文藝春秋掲載の「『自粛警察』の正体──小市民が弾圧者に変わるとき」で2021年のPEPジャーナリズム大賞受賞。著書に『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房)、『ルポ 百田尚樹現象――愛国ポピュリズムの現在地』(小学館)、『ニュースの未来』 (光文社新書)など

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