ニュース速報

ワールド

日英伊の戦闘機開発、ロンドンに本部設立で調整=関係者

2023年09月21日(木)17時39分

 次期戦闘機の共同開発を進める英国・日本・イタリアが、事業体の本部を英ロンドンに置く方向で調整するとともに、3カ国以外の国を準パートナーとして迎え入れる可能性を議論していることが分かった。写真は「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」の戦闘機の模型。12日にロンドンで開かれた防衛関連のイベントで撮影(2023年 ロイター/Sarah Young)

Nobuhiro Kubo Tim Kelly

[東京 21日 ロイター] - 次期戦闘機の共同開発を進める英国・日本・イタリアが、事業体の本部を英ロンドンに置く方向で調整するとともに、3カ国以外の国を準パートナーとして迎え入れる可能性を議論していることが分かった。事情を知る複数の関係者が明らかにした。

参加国が増えれば各国の開発費が抑えられるほか、1機当たりの調達費も低減するメリットがある一方、事業が複雑化する恐れがある。

昨年末に共同開発を決定した3カ国は、2035年までに初号機を配備することを目指している。現在は基本構想をもとにどの国がどの部分を担当するか仕事の分担などを協議、共同事業体の組織づくりも進めている。

「本部は英国、トップを日本人にしてバランスを取る方向で調整している」と、関係者の1人は話す。

関係者3人によると、3カ国は対等なパートナーにみえるよう事業体を設立しようとしているが、英国と日本の役割が大きくなる可能性があるという。

英国防省はロイターの取材に「各国が重要な仕事を担い、高度な技術が必要な数千人規模の雇用が創出されることを見込んでいる」と回答。「本部の設置場所はまだ決定しない」とした。日本の防衛装備庁は、24年度中に設立する方向としつつも、「所在地を含め詳細は3カ国の官民で検討中」とした。イタリア国防省はコメントを控えた。

関係者3人によると、同プログラムには複数の国が関心を示している。英フィナンシャル・タイムズは8月、英国と航空防衛の分野で協力するサウジアラビアが参加を求めていると報じた。

民間企業として事業に参画するイタリアの防衛・航空宇宙大手レオナルドの首脳は今月15日、サウジが中核メンバーとして参加することはないと語った。

しかし、日英伊と対等なメンバーではなく、限定的な役割を負った準パートナーとして3カ国以外の国が加わる可能性があると、関係者3人は説明する。参加各国の資金負担が軽くなるほか、開発した戦闘機の市場拡大が期待できるためで、アラブ首長国連邦も関心を示しているという。

英国防省で同事業を担当するリチャード・バートン氏は先週、ロンドンで開かれた国際防衛装備展示会で、サウジの参画について将来の可能性を探る議論はあったが、それ以上の決定はなかったと明らかにした。イタリア国防省の関係者は「いずれサウジが参加する可能性がある」と打ち明ける。

次期戦闘機の開発事業には、民間企業として英国からBAEシステムズ、日本から三菱重工業が参加している。

(久保信博、Tim Kelly 編集:橋本浩)

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FOMC前のデータ重視、9月利下げ決定巡り─NY連

ワールド

トランプ氏、著名投資家ソロス氏を「組織犯罪対策法で

ビジネス

SOMPOHD、米上場の保険アスペン買収で合意 約

ビジネス

三菱商、洋上風力発電計画から撤退 資材高騰などで建
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    「どんな知能してるんだ」「自分の家かよ...」屋内に侵入してきたクマが見せた「目を疑う行動」にネット戦慄
  • 3
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪悪感も中毒も断ち切る「2つの習慣」
  • 4
    【クイズ】1位はアメリカ...稼働中の「原子力発電所…
  • 5
    「1日1万歩」より効く!? 海外SNSで話題、日本発・新…
  • 6
    イタリアの「オーバーツーリズム」が止まらない...草…
  • 7
    「ガソリンスタンドに行列」...ウクライナの反撃が「…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    「美しく、恐ろしい...」アメリカを襲った大型ハリケ…
  • 10
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 8
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 9
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中