ニュース速報

ワールド

NATO、ウクライナへのインフラ支援強化を約束 外相会合初日

2022年11月30日(水)14時02分

北大西洋条約機構(NATO)外相会合は29日、初日の協議を終えて声明を発表し、ウクライナへの支援強化やエネルギーインフラ修復の援助を表明した。写真は同日、ブカレストで会議を開く米国のブリンケン国務長官ら(2022年 ロイター/Vadim Ghirda)

[ブカレスト 29日 ロイター] - 北大西洋条約機構(NATO)外相会合は29日、初日の協議を終えて声明を発表し、ウクライナへの支援強化やエネルギーインフラ修復の援助を表明した。

声明では、ロシアによるウクライナのエネルギーインフラを対象とした攻撃を強く非難。ウクライナのインフラ修復に向けた支援を約束したほか、「ウクライナが主権と領土を守り続ける限り、政治的・実際的な支援を継続し、さらに強化する。必要な限り支援を維持する」と確約した。

また、2008年のNATO首脳会議で決定された、将来的なウクライナの加盟も確認。しかし具体的な手順やタイムテーブルは示されなかった。

NATOのストルテンベルグ事務総長は2日間にわたる外相会合の冒頭、「われわれはウクライナが加盟すると表明しており、加盟国がその立場を改めて表明することを期待している」とした。ただ、「戦時下にあるため、ウクライナに軍事・人道・財政支援を提供する同盟国の結束を損なうようなことはすべきではない」とも述べた。

初日の討議を締めくくるに当たりストルテンベルグ氏は「ロシアのプーチン大統領は冬を戦争の武器として使っている」とし、「この冬、ウクライナを寒く暗い状態にしようとミサイルやドローンを使った残忍な攻撃を行っている」と非難。英国のクレバリー外相も、プーチン大統領は「ウクライナ国民を凍らせた上で服従させる」ために民間インフラとエネルギーインフラを標的にしていると非難した。

<地対空誘導弾パトリオットミサイルと変圧器>

ウクライナはロシア軍による攻撃に対抗するためにめに、西側諸国に対し防空システムと変圧器を提供するよう要請。ウクライナのクレバ外相は「変圧器と発電機があれば、エネルギー需要を満たすことができる。防空システムがあれば、ロシア軍のミサイル攻撃から防衛できる」とし、「ウクライナは 地対空誘導弾パトリオットミサイルと変圧器を最も必要としている」と述べた。

ストルテンベルグ氏は、NATO同盟国はパトリオット防空ユニットの提供を巡り討議していると表明。ただ、提供されるシステムが効果的であることに加え、メンテナンスと十分な弾薬を提供する必要があり、それ自体が「大きな挑戦」になるとの認識を示した。

米国務省はこの日、ウクライナのエネルギーインフラを標的としたロシアの攻撃に対抗するため、ウクライナの送電設備機器の購入支援に5300万ドルを拠出すると発表。

国務省は声明で、配電変圧器、回路遮断器、避雷器などをウクライナ国民が冬を乗り切るのを助けるために緊急的に提供すると表明した。

<ウクライナの将来的なNATO加盟>

ストルテンベルグ事務総長は会議の冒頭「われわれは、ウクライナが加盟すると表明しており、同盟国がその立場を改めて表明することを期待している」と述べた。ただ「現在の主な焦点はウクライナを支援することだ」とし、「戦争が進行中である現在、ウクライナに軍事、人道、財政支援を行うという同盟国の結束を損なうようなことはすべきではない」と語った。

<リトアニアは戦車提供を呼びかけ>

リトアニアのランズベルギス外相は「NATO外相に伝えたいことは簡単だ。戦車を提供するべきだ」とっツイッターに投稿。ウクライナ支援の最前線にあるバルト3国の見解を代表し、NATO加盟国に対しウクライナに戦車を提供するよう呼びかけた。

ただ西側諸国は、ロシアとの直接的な紛争リスクの高まりを警戒し、こうした選択肢には消極姿勢を示している。

*動画を付けて再送します。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏の成長は予想上回る、金利水準は適切=ECB

ワールド

米「ゴールデンドーム」計画、政府閉鎖などで大幅遅延

ビジネス

12月米利下げ予想撤回、堅調な雇用統計受け一部機関

ワールド

台湾、日本産食品の輸入規制を全て撤廃
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 9
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 10
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中