ニュース速報

ワールド

中国でコロナ規制に異例の抗議、新規感染は5日連続最多

2022年11月28日(月)19時12分

 中国国家衛生健康委員会の28日の発表によると、国内の新型コロナウイルス新規感染者が27日に4万0347人確認された。写真は27日に北京で撮影(2022年 ロイター/Thomas Peter)

[上海/北京 28日 ロイター] - 中国が28日発表した新型コロナウイルス新規感染者が5日連続で過去最多を更新した。週末には厳しいコロナ規制に対する抗議活動が各地で行われ、習近平体制下で異例の事態となっている。

27日にデモ隊と警察が衝突した上海では中心部にバリケードが築かれた。上海と北京では28日、新たな抗議活動が起こる兆しはない。

世界の大半の国がコロナ規制をほぼ解除する中でも、中国は習氏のゼロコロナ政策を堅持している。

政府は今月、より的を絞った対策に修正する姿勢を打ち出し、近く全面的な経済再開につながるとの観測が高まった。ただ、感染再拡大を受けて早期の大幅な制限緩和への期待は後退。多くのアナリストは、早くても来年3月か4月まで中国が経済を大幅に再開する可能性は低いとみており、専門家はワクチン接種拡大が必要だと指摘する。

27日の新規感染者は4万0347人と前日の3万9791人から増加。海外からの渡航者を除く新規の市中感染者は4万0052人で、こちらも前日を上回った。大都市の広州と重慶では数千人規模の感染者が出ており、流行抑制に苦慮している。

市民による異例の抗議を受けて中国のゼロコロナ政策や経済への影響を巡る懸念が高まり、世界の金融市場は下落。中国株や人民元も売られた。

<国営メディアはデモに言及せず>

国営メディアはデモに言及せず、論説で規制を守るよう呼びかけた。

英BBCは27日、上海で抗議活動を取材していた同社ジャーナリストの1人が中国警察から暴行を受けて数時間拘束された後釈放されたと明らかにしたが、中国外務省は28日、「上海当局によると、問題のジャーナリストは自らを報道関係者と名乗ったり記者証を提示することはなかった」と述べた。

週末には武漢や蘭州などの都市で住民がコロナ検査所のテントを倒すなどした。また、新疆ウイグル自治区のウルムチで24日に起きた火災をきっかけに、各地の大学でも怒りを募らせる学生らが集まって抗議した。

ウルムチの火災では10人が死亡。当局は否定するものの、インターネット上ではビルが部分的にロックダウン(封鎖)されていたため住民が逃げ遅れたとの声が上がり、動画などによると25日夜にウルムチの路上でロックダウンに抗議するデモが起きた。同市では封鎖が100日続いた地域もある。

首都・北京では27日深夜を過ぎても大勢の人が北京三環路沿いに集まり、平和的な抗議活動を実施。あるグループは抗議の象徴である白い紙を掲げて「コロナ検査は要らない、自由が必要」などと叫んだ。通り過ぎる車の多くもクラクションを鳴らしてデモ参加者に支持を示した。

現場には制服を着た警察官が数十人出動し、私服の治安要員も群衆の中に見られた。

上海では26日夜、ウルムチにちなんで名付けられた市内の道路に住民が集まり、追悼集会が行われたが、27日未明に抗議活動へと発展。

ネット上の動画などによると、大規模な集団が「中国共産党は退陣しろ、習近平(国家主席)は退陣しろ」と叫び、指導部に対し異例の抗議の声を上げた。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

IBM、コンフルエントを110億ドルで買収 AI需

ワールド

EU9カ国、「欧州製品の優先採用」に慎重姿勢 加盟

ビジネス

米ネクステラ、グーグルやメタと提携強化 電力需要増

ワールド

英仏独首脳、ゼレンスキー氏と会談 「重要局面」での
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    死刑は「やむを得ない」と言う人は、おそらく本当の…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中