ニュース速報

ワールド

伊新首相就任見通しのメローニ氏、エネルギー・減税・年金が最初の難題

2022年09月27日(火)11時49分

イタリア初の女性首相に就任すると目されている右派政党「イタリアの同胞」(FDI)のメローニ党首(写真)は、実際に就任すれば早々に、選挙公約で来年1月から始まることになっている国の年金受給年齢引き上げを阻止するなどと訴えたことの実現に向け、多額の財源確保に追われることになる。9月26日、ローマで撮影(2022年 ロイター/Guglielmo Mangiapane)

[ローマ 26日 ロイター] - イタリア初の女性首相に就任すると目されている右派政党「イタリアの同胞」(FDI)のメローニ党首は、実際に就任すれば早々に、選挙公約で来年1月から始まることになっている国の年金受給年齢引き上げを阻止するなどと訴えたことの実現に向け、多額の財源確保に追われることになる。

初議会招集や新首相指名手続きなどに時間がかかるため、新政権の実質的な発足は少なくとも今から1か月後になる。消息筋によると、その間に、例えば今週ドラギ首相が発表する経済見通しは一段と悪化を示す内容になる見込みだ。

FDIと連合を組む右派「同盟」のサルビーニ元副首相は記者団に対し、エネルギー危機が「新政権の最初の試練」になると語った。

ドラギ氏は既にエネルギー集約型企業や低所得世帯を支援する減税や補助金措置として今年660億ユーロ(636億3000万ドル)を確保したが、この措置は11月に期限が失効する。財務省当局者によると、同措置をさらに1か月延長するだけでも47億ユーロが発生することになる。ただ、エネルギー価格上昇で政府の関連税収入は増えるため、メローニ氏が政府借り入れの拡大を回避できる可能性はあるという。

もっともユーロ圏全体で企業活動は急速に弱くなっており、メローニ氏が来年も同様の措置を承認する必要に迫られる可能性は高い。この点について、重要な閣僚ポストを狙うメローニ氏側近はロイターに対し、新政権は今年で失効する労働者向け減税措置を来年に延長する計画で、追加予算で35億ユーロが見込まれると語った。

2011年の年金改革で、現在暫定的に64歳となっている年金受給年齢は来年1月からいよいよ67歳に引き上げられる。サルビーニ氏はこの年金改革の廃止を望んでいる。

引き上げが取りやめになると、国内総生産(GDP)比で既にギリシャに次いでユーロ圏で2番目に高い年金負担はさらに強まる。

その上イタリアの年金はインフレ連動型のため、現在のほぼ2桁の物価上昇率によって問題はさらに悪化することになる。

同国財務省は既に今年6月時点で、来年の国の年金負担のGDP比率が16.2%と、今年の15.7%から上昇するとの見通しを示していた。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏10月銀行融資、企業向けは伸び横ばい 家計

ビジネス

成長型経済へ、26年度は物価上昇を適切に反映した予

ビジネス

次年度国債発行、30年債の優先減額求める声=財務省

ビジネス

韓国ネイバー傘下企業、国内最大の仮想通貨取引所を買
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 5
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 10
    あなたは何歳?...医師が警告する「感情の老化」、簡…
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 9
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中