ニュース速報

ワールド

パンデミック対応の財政・金融政策、格差や貧困を助長=世銀総裁

2021年12月07日(火)17時35分

 12月7日、世界銀行のマルパス総裁は、新型コロナウイルスのパンデミック到来で財政・金融政策は「未踏の領域」に入っており、それが世界的な格差拡大や貧困の深刻化をもたらしている可能性があると指摘した。11月3日、スコットランドで撮影(2021年 ロイター/Yves Herman)

[ワシントン 6日 ロイター] - 世界銀行のマルパス総裁は6日、新型コロナウイルスのパンデミック到来で財政・金融政策は「未踏の領域」に入っており、それが世界的な格差拡大や貧困の深刻化をもたらしている可能性があると指摘した。李克強中国首相主催の会合で述べた。

マルパス総裁は、パンデミックを契機に世界的に財政支出が過去最高水準に増えたにもかかわらず、極貧状態の人は1億人以上増えたと説明。先進国は回復したが、貧困国は回復は鈍かったり、全く回復が見られなかったりするとし、これが平均所得、女性の地位向上、栄養の「悲劇的な反転」の原因となっていると述べた。さらにインフレ、サプライチェーンの問題、エネルギー価格の高騰がこの傾向に拍車を掛けていると指摘した。

「格差問題の一部は、国際金融自体や、刺激策の不平等な構造だ」と述べ、各国で見られる国家債務、財政・金融政策が格差に加わっていると指摘した。

総裁は、先進国の金融政策が長い間、所要準備率に注目し、準備金の伸びを限定して通貨と物価を安定させてきたと指摘した。この手法は今も中国が利用している。

また、先進国中銀は量的緩和策を採用したが、これは質の高い資産クラスの価格を支援し、中小企業や途上国は蚊帳の外に置かれたと述べた。

財政政策についても、主要な借り手に資源が向かい、その他は放置されていると指摘し、ソブリン債政策は格差の原因になっていると述べた。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中