ニュース速報

ワールド

米上院外交委が中国対抗法案、人権促進や安保で他国支援

2021年04月09日(金)18時27分

米上院外交委員会の指導者らは4月8日、中国が世界的に影響力を拡大していることに対抗するため、人権保護促進や安全保障支援などを柱とした超党派による法案を公表した。写真は米国と中国の旗。北京で1月撮影(2021年 ロイター/Tingshu Wang)

[ワシントン 9日 ロイター] - 米上院外交委員会の指導者らは8日、中国が世界的に影響力を拡大していることに対抗するため、人権保護促進や安全保障支援などを柱とした超党派による法案を公表した。14日に審議を行う。

「2021年の戦略的競争法」と題した法案は、中国に対抗するための一連の外交的、戦略的対策の権限を付与。議会の両党における中国に対する強硬姿勢を反映している。

中国との経済的な競争だけでなく、ウイグル族などイスラム系少数民族に対する扱いや香港での反政府デモの抑圧、南シナ海での挑発的行為を含む、人道的、民主的価値観を推進する。

法案では「インド太平洋地域における米国の政治的目的を達成するために必要な軍事的投資を優先する」重要性を主張。米議会が連邦予算を中国と対抗するための戦略的責務に「沿ったもの」にする必要があると訴えた。

2022─26年の会計年度に、同地域に軍事援助として計6億5500万ドル、インド太平洋海上安全保障構想と関連プログラムに計4億5000万ドルを拠出するよう推奨している。

また、台湾が「インド太平洋地域における米国の戦略に必須」であり、協力関係を強化する必要があると指摘。米当局が規制なく台湾当局と交流できるようにすべきだとした。中国は台湾を自国の領土と見なしている。

米国は同盟国に対して、中国の「攻撃的で積極的な態度」を抑制するように促すべきだと主張。米政府の各行政組織と機関に、中国との戦略的競争に関する政策を担当する高官を設けることを提唱し、「全ての連邦行政組織と機関は、中国との戦略的競争が米国の外交政策の優先事項であることを反映する構造にしなければならない」とした。

その他、中国の軍事設備を置く国に対する支援を制限するとし、中国の広域経済圏構想「一帯一路」が、中国の安全保障を推進し軍事アクセスを拡大するためのものであると指摘した。

中国外務省の趙立堅報道官は9日の定例会見で、中国は法案に「断固反対」すると発言。米上院議員に中米関係の安定的発展に一層努力するよう求めた。

台湾外交部の報道官は、米上院の台湾支持の姿勢に謝意を示し、法案の行方に注目していくと述べた。   

*内容と写真を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

欧州・ウクライナの米提案修正、和平の可能性高めず=

ワールド

ウクライナ協議は「生産的」、ウィットコフ米特使が評

ビジネス

米クリーブランド連銀総裁、今後数カ月の金利据え置き

ビジネス

再送-〔アングル〕日銀、追加利上げへ慎重に時機探る
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 7
    米空軍、嘉手納基地からロシア極東と朝鮮半島に特殊…
  • 8
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 9
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中