ニュース速報

ワールド

アストラ製ワクチンの波紋拡大、豪・比など年齢制限 購入停止も

2021年04月09日(金)06時06分

英アストラゼネカの新型コロナワクチンとまれな血栓症の発症が関連している可能性があるとの指摘を受け、8日までに使用に年齢制限を設定する国が相次いでいるほか、同社ワクチンの購入をストップする動きも出ている。写真は4月7日、クロアチア・ザグレブで撮影。(2021年 ロイター/Antonio Bronic)

[8日 ロイター] - 欧州連合(EU)の医薬品当局が英アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンとまれな血栓症の発症が関連している可能性があると指摘したことを受け、8日までに使用に年齢制限を設定する国が相次いでいるほか、同社ワクチンの購入をストップする動きも出ている。

フィリピンは60歳以下へのアストラゼネカ製ワクチンの接種を停止すると発表。オーストラリアも50歳以下の人にはアストラ製ではなく米ファイザーのワクチンを接種するよう推奨した。

オランダはアストラ製ワクチンの接種を60歳よりも上の世代に限定。ポルトガルは60歳未満への接種を停止した。

アフリカ疾病対策センター(CDC)によると、アフリカ連合(AU)はアストラ製ワクチンを製造するインドのセラム・インスティチュートから同ワクチンを購入する計画を撤回し、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製の購入にシフトする選択肢を模索しているという。

英国は7日、30歳未満については他のワクチンを使用するよう提言。イタリアはアストラ製ワクチンを60歳以上に限定して推奨すると発表した。フランスやドイツ、オランダも年齢制限を設けている。韓国も60歳以下へのアストラ製接種を中断した。

また、インドネシアのブディ保健相は、アストラ製ワクチンの到着が遅れているため、中国に最大1億回分のワクチンの供給を要請していることを明らかにした。

インドは、国内のコロナ感染者が急拡大する中、セラム・インスティチュートが製造するアストラ製ワクチンの輸出を一時停止する方針を示している。

アストラ製ワクチンを巡っては、当初は高齢者への効果が不明とされていたが、最近になって60歳以下の女性を中心に接種後にまれな脳血栓症が発生する事例が報告されている。

欧州医薬品庁(EMA)は7日、同ワクチンと血栓症の関連の可能性を指摘しつつも、依然として利点がリスクを上回っているとの認識を再表明した。アストラゼネカは、ワクチン接種に伴い「非常にまれな副反応」として脳血栓症が発生する可能性を明記する方向で、欧州と英保健当局と取り組んでいると明らかにした。

コロナワクチンの世界的な公平分配を目的とした枠組み「COVAXファシリティー」に関する声明の中で、アストラゼネカのソリオ最高経営責任者(CEO)はこれまでにCOVAXを通じて3700万回を超えるワクチンを供給したとし、「公平で手頃な価格のワクチンを提供するという揺るぎないコミットメントを実現するために、絶えず努力を重ねている」と述べた。

*情報を追加します。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:長期金利2.0%が視野、ターミナルレート

ワールド

中国、レアアース輸出ライセンス合理化に取り組んでい

ワールド

ADBと世銀、新協調融資モデルで太平洋諸島プロジェ

ワールド

アングル:好調スタートの米年末商戦、水面下で消費揺
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 8
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 9
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中