ニュース速報

ワールド

NZ中銀、金融政策では住宅価格への影響を考慮へ

2021年02月25日(木)13時30分

 2月25日、ニュージーランド(NZ)政府は、NZ準備銀行(中央銀行)について、金融政策を決定する際に住宅価格への影響を考慮しなければならないと表明した。写真はNZ中銀。ニュージーランドのウェリントンで2017年7月撮影(2021年 ロイター/David Gray)

[ウェリントン/シドニー 25日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)政府は25日、NZ準備銀行(中央銀行)について、金融政策を決定する際に住宅価格への影響を考慮しなければならないと表明した。3月1日から施行する。住宅価格の高騰を抑えることが狙い。

ロバートソン財務相は、中銀には、より持続可能な住宅価格に関連した政府の政策を考慮する必要があると主張。

同相は声明で「政府は住宅市場の沈静化に向けた幅広い助言を検討しており、きょうの発表は最初の一歩に過ぎない」と表明。「われわれは、ここ数カ月における住宅価格急騰は持続可能ではなく、それによって1軒目の住宅購入を望む多くの人々が市場へのアクセスに苦労していることを理解している」と述べた。

また、過熱する住宅市場の危機に対応する他の政策措置について数週間以内に発表がなされるとした。

政府は、住宅価格への影響を検討することを中銀に求めたが、金融政策に新たな責務を追加することは見送った。

中銀のオア総裁は、中銀の責務に住宅価格の安定を追加すれば、金融政策の効果が低下し、金融市場の効率に影響が出ると主張していた。また、金融政策だけで住宅問題を解決することはできないとの認識も示していた。

同総裁は25日、中銀の検討事項に住宅価格が追加されたことを歓迎すると表明する一方、金融政策・金融行政は「住宅価格に影響を及ぼす多数の要因」の一つだと主張。物価安定の維持と持続可能な雇用の最大化という中銀の目標に変更はないと強調した。

NZ中銀は、新型コロナウイルス対策の一環で、利下げや住宅ローン規制の緩和、量的緩和を実施しており、国内の住宅価格は高騰している。中銀は住宅価格が年央までに最大22.4%上昇すると予測している。

政府の発表を受け、NZドルは2017年8月以来の高値に上昇。金融政策が引き締められるとの見方が強まった。10年国債利回りは1.82%と、2019年5月以来の高水準。

ウエストパックのシニアエコノミスト、マイケル・ゴードン氏は「中銀が住宅価格を考慮に入れれば、インフレ・雇用目標の達成で漸進主義をとる可能性がある。これは目先、予想以上に金融政策が引き締められることを意味する」と分析。

同氏は、住宅市場への直接の影響は大きくないだろうとも予想し「住宅価格は金利を上げれば下落するが、今の借り入れコストは依然として低い」と述べた。

ロバートソン財務相は、中銀は政策決定が住宅市場に与える影響を考慮するかどうか、どのように考慮するかについて自律性を保持するが、住宅市場への影響の評価方法を定期的に説明する必要があると指摘。同時に、より持続可能な住宅価格を支援するという政府目標を考慮する必要があるとした。

中銀は、返済負担率や当初金利のみを返済するインタレスト・オンリー(IO)住宅ローンなどの措置に関する助言を求める政府要請を検討していると明らかにした。

*内容を追加し、写真をつけました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

過度な為替変動に警戒、リスク監視が重要=加藤財務相

ワールド

アングル:ベトナムで対中感情が軟化、SNSの影響強

ビジネス

S&P、フランスを「Aプラス」に格下げ 財政再建遅

ワールド

中国により厳格な姿勢を、米財務長官がIMFと世銀に
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みんなそうじゃないの?」 投稿した写真が話題に
  • 4
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過…
  • 5
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 7
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 10
    インド映画はなぜ踊るのか?...『ムトゥ 踊るマハラ…
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中